特別受益とは

特別受益は、共同相続人中に、被相続人から遺贈を受けたり、または婚姻もしくは養子縁組のため、もしくは生計の資本として贈与を受けたりした者がいる場合、この利益を遺産へ持ち戻す義務があるという制度です(民法903条)。

裁判例では、特別受益に該当するかどうかは形式的に判断されるのではなく、共同相続人間の公平の観点から実質的に判断されています。

このように、特別受益は実質的に判断されることから、裁判で争点となった場合、これまでの長年の生活歴等に関する事実が主張され、紛争が長期化することも珍しくありません。

特別受益に関する解説はこちらをご覧ください

1 特別受益者

2 特別受益の範囲・計算方法

3 持ち戻し免除の意思表示

 

1 特別受益者

特別受益は、共同相続人中に、被相続人から遺贈を受けたり、または婚姻もしくは養子縁組のため、もしくは生計の資本として贈与を受けたりした者がいる場合、この利益を遺産へ持ち戻す義務があるという制度です(民法903条)。

特別受益者に該当するかどうかは、形式的ではなく、実質的に判断されることになります。

以下では、特別受益者となるかどうかが争われた裁判例等を紹介いたします。なお、いずれのケースも、個別の事実関係によって判断が分かれうるところです。

 

① 「相続させる」旨の遺言による場合

遺産の一部である特定の財産を「相続させる」旨の遺言により取得した相続人について、特別受益の持戻しと同様の処理をすべきとされた裁判例があります(広島高裁岡山支部決定平成17年4月11日)。

 

② 相続人の配偶者に対する贈与の場合

相続人の配偶者は被相続人の共同相続人には該当しませんが、夫婦が経済的に一体であるという点を捉えて、被相続人が直接相続人の配偶者に対して贈与を行った場合でも、相続人への贈与として特別受益該当性を肯定した裁判例があります(高松家裁丸亀支部審判平成3年11月19日)。

 

③ 代襲者に対する贈与の場合

代襲者が相続人となった後に受けた贈与については特別受益に該当するものの、それ以前に受けた贈与については特別受益に該当しないという見解がありますが、この点は判断が分かれるところです。

 

2 特別受益の範囲・計算方法

特別受益の対象

特別受益として問題となるものは、「遺贈」と「生前贈与」です。

「遺贈」はすべて特別受益の対象になります。

一方、「生前贈与」は、「婚姻若しくは養子縁組のため」又は「生計の資本」としての贈与のみが対象となります。

「婚姻若しくは養子縁組のため」には、持参金や支度金、結納金などが含まれることには争いはありません。

「生計の資本」には、生計の基礎として役立つような贈与はこれに含まれると解されています。

例えば、相続人が事業を行う際の資金提供や、独立する際の土地・建物の贈与、高等教育や留学のための学費等がこれにあたります。

 

特別受益の計算方法

まず、みなし相続財産を算定することになります。相続財産に特別受益である生前贈与を加えて、みなし相続財産を算定します。

一方、遺贈は相続財産に含まれているため、加算しないことになります。

このみなし相続財産を基礎として、各相続人の相続分を算定します。

そして、特別受益者は、この相続分から特別受益分を差し引いた残額を算定します。

これが特別受益者の具体的相続分となります。

なお、相続分を超える贈与額や遺贈額があっても、遺産分割にあたっては取り分がなくなるだけであり、超過部分を返還しなくともよいことには注意しましょう。

 

3 持ち戻し免除の意思表示

持戻免除の意思表示の効果

特別受益を持ち戻して相続財産に加えて算定の基礎にすることを「持戻」といいます。

特別受益者については、原則として「持戻」の計算をすることになります。

もっとも、被相続人が遺贈や生前贈与を相続分の算定にあたって考慮しないこと等の遺言を作成している場合などには持戻免除の意思表示が認められることがあります(民法903条3項)。

持戻免除の意思表示が認められる場合、持戻計算をしないことになります。

 

持戻免除の意思表示の方法

持戻免除の意思表示は、明示の意思表示に限られず、黙次の意思表示でも認められることがあります。

そして、持戻免除の意思表示については、特別な方式も要求されていないと解されています。

 

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