はじめに
遺産相続を円満に進めるためには、財産目録の作成が有益です。財産目録を作成することで、相続財産の全体像が明確になり、相続人同士のトラブルを未然に防ぐことができます。本稿では、財産目録の基本的な内容から、作成する際の注意点や、弁護士に依頼する際のメリットについて解説します。
Q&A
Q1: 財産目録を作成することのメリットは何でしょうか?
A1: 財産目録を作成することで、遺産の全体像が一目で把握できるようになり、相続手続きが円滑に進められます。また、相続人間のトラブルを未然に防ぎ、相続税の申告時にも役立ちます。
Q2: 財産目録を自分で作成する際に注意すべき点はありますか?
A2: 財産目録を作成する際には、相続財産を正確に把握し、すべての財産を漏れなく記載することが重要です。間違った方法で作成すると、遺言書や遺産分割協議書が無効になるリスクがありますので、注意が必要です。
Q3: 弁護士に依頼することで、どのようなメリットが得られますか?
A3: 弁護士に依頼することで、財産調査をスムーズに進めることができ、正確な財産目録を作成することが可能です。また、万が一トラブルが発生した場合でも、適切に対応してもらえるので安心です。
財産目録とは?
財産目録とは、相続財産の内訳とその評価額を一目でわかるようにまとめた一覧表です。現金や預貯金、不動産、株式などの資産に加えて、負債も含めた被相続人の財産状況を詳細に把握できるようにします。財産目録は、被相続人が遺言書を作成する際や、相続人が遺産分割協議を行う際に重要な役割を果たします。
財産目録を作成する際には、まず相続財産を調査することから始めます。相続財産の内容を正確に把握し、すべての財産を漏れなく記載することが求められます。これにより、相続人間でのトラブルを防ぎ、遺産分割協議を円滑に進めることが可能になります。
財産目録を作成するメリット
1. 遺言書作成がスムーズに
財産目録を作成することで、被相続人が遺言書を作成する際に、財産の分配が明確になります。財産目録があれば、何を誰にどれだけ分配するかが一目でわかるため、遺言書の作成がスムーズに進みます。特に、2019年の民法改正後は、自筆証書遺言に添付する財産目録は自筆でなくても良くなり、手間を大幅に省くことができるようになりました。
2. 遺産分割協議が円満に進む
遺産分割協議を進める際、財産目録があると財産の範囲や評価額について、相続人間での合意が得やすくなります。これにより、協議が円滑に進み、相続人間でのトラブルを防ぐことができます。特に、相続財産が複数ある場合や、評価額が大きく異なる場合には、財産目録の作成が有効です。
3. 相続税の申告に役立つ
財産目録は、相続税の申告時にも利用できます。相続税申告書には、財産の明細を正確に記載する必要がありますが、財産目録を事前に作成しておくことで、申告手続きがスムーズに進みます。また、相続税の申告が必要かどうかの判断にも役立ちます。
財産目録を作成するときのポイント
1. 相続財産の調査
財産目録を作成する際には、まず相続財産を調査することが必要です。不動産や預貯金、有価証券などの財産を記載することが求められます。特に、相続人が財産を調査する場合には、漏れが発生しやすいので、注意が必要です。銀行から残高証明書を取り寄せる、証券会社に問い合わせる、不動産の全部事項証明書を取得するなど、手間を惜しまずに行いましょう。
2. 財産目録に記載すべき内容
財産目録には、現金、預貯金、有価証券、不動産、車両、ゴルフ会員権、その他の動産などの資産と、その評価額を記載します。また、負債も記載する必要があります。これには、借入金や未払いの税金、滞納家賃などが含まれます。さらに、葬儀費用なども記載しておくと、相続税の申告時に便利です。
財産目録を作成するときの注意点
1. 正確に作成することが重要
財産目録を作成する際には、相続財産の内容や評価額を正確に記載することが求められます。不動産の全部事項証明書の内容をそのまま転記し、評価額を正確に記載するなど、細部にまで注意を払いましょう。また、預貯金についても、金融機関名や口座番号、口座名義人など、すべての情報を漏れなく記載することが重要です。これにより、遺産分割協議や相続税申告がスムーズに進められます。
2. 誤りがあるとリスクが生じる
財産目録の作成方法に誤りがあると、遺言書や遺産分割協議書が無効になる可能性があります。自筆証書遺言の場合、財産目録が適切に作成されていないと、遺言書全体が無効になるリスクもあります。遺産分割協議書に添付する財産目録が間違っている場合も、協議書自体が無効になるわけではありませんが、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しができなくなる可能性があるため、注意が必要です。
弁護士に依頼するメリット
1. スムーズな財産調査
相続財産の調査は、相続人にとって非常に手間のかかる作業です。銀行や証券会社、不動産業者、役所など、多くの場所に問い合わせを行い、書類を集める必要があります。弁護士に依頼することで、これらの手続きがスムーズに進み、相続人の負担が軽減されます。
2. 正確な財産目録の作成
弁護士が財産目録を作成することで、法的に正しい方法で作成されるため、遺言書や遺産分割協議書が無効になるリスクを軽減できます。弁護士が関与することで、相続手続全体がスムーズに進められるため、安心して相続を進めることができます。
3. 遺言書や遺産分割協議書の作成サポート
弁護士に相談することで、遺言書や遺産分割協議書の作成も依頼できます。法的な視点から不備のない書類を作成してもらえるため、相続手続が円滑に進められます。さらに、弁護士が遺言執行者として指定されることで、相続手続きが迅速かつ確実に行われるというメリットもあります。
4. トラブル対応への依頼も可能
相続手続き中にトラブルが発生した場合でも、弁護士が適切に対応します。特に、相続人間での意見の対立が生じた場合、弁護士が交渉や調停を行い、法的に正しい解決策を提示します。調停や審判が必要な場合でも、弁護士が代理人としてサポートすることが可能です。
まとめ
財産目録を作成することは、遺産相続をスムーズに進めるための重要なステップです。正確な作成が求められ、相続トラブルを未然に防ぐためにも、弁護士のサポートを受けることが推奨されます。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、財産目録の作成を含む相続手続に関するサポートを提供しています。相続に関するお悩みがある方は、ぜひご相談ください。
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