はじめに
相続放棄を検討する際、多くの方が直面するのが「空き家」の問題です。相続放棄を行った場合、その空き家がどのように処理されるのか、管理や税金の負担がどうなるのかといった疑問が生じることが少なくありません。本ガイドでは、相続放棄に関する空き家問題について解説し、具体的な空き家の扱いや解決策について紹介します。
空き家問題とは
近年、日本国内では高齢化や人口減少に伴い、相続によって空き家が増加しています。空き家は、適切に管理されないと倒壊や不法侵入のリスクが高まり、地域の安全性や景観を損なう原因となります。また、管理が行き届いていない空き家は、固定資産税の負担が発生するため、無駄なコストがかかることになります。
相続放棄を行うことで、空き家の管理や税負担から解放されると考える方もいますが、実際にはそう単純ではありません。相続放棄後も空き家に関する責任が残る場合があるため、注意が必要です。
相続放棄をした場合における空き家の扱い
相続放棄を行うと、その人は法律上、最初から相続人ではなかったと見なされます。その結果、相続放棄をした場合、次の順位の相続人に空き家の所有権が移ります。相続人の順位は、第一順位が子や孫、第二順位が両親や祖父母、第三順位が兄弟姉妹や甥姪となっています【民法第887条以下】。
しかし、次の順位の相続人がいない場合や、全ての相続人が相続放棄をした場合、最終的には空き家は国の所有物となる可能性があります。これは、相続人が存在しない場合や全員が相続を放棄した場合、遺産が国庫に帰属するという法律の規定に基づいています【民法第959条】。
ただし、相続放棄をしただけでは、自動的に空き家の所有権が国に移るわけではありません。国の所有物とするためには、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てる必要があります。相続財産清算人は遺産を整理し、最終的な帰属を決定する役割を担いますが、その申立てには数十万円程度の費用がかかることがあります【民法第952条】。
相続放棄後の空き家問題を解決する方法
相続放棄後に空き家の問題を解決するためには、いくつかの方法があります。
1.売却
被相続人の生前に、空き家を売却するのが一つの方法です。これにより、相続財産の対象から除外し、相続放棄後の空き家管理の負担を減らすことができます。
2.相続財産清算人の選任
相続放棄後に残された空き家を管理するためには、家庭裁判所に相続財産精算人を選任してもらうことが考えられます。清算人が遺産の整理を行い、最終的な処理を進めます。
3.行政に相談
空き家が行政の問題となる場合、市区町村に相談し、適切な処理方法を検討することができます。行政は空き家の適正管理を促進するための支援を提供している場合があります。
弁護士に相談するメリット
相続放棄と空き家の問題は、法律的な知識や手続きが必要なため、専門家のサポートを受けることもご検討ください。弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。
- 専門的なアドバイス
法律に基づいた正確なアドバイスを受けることができ、最適な解決策を選択する手助けとなります。 - 手続きの代行
複雑な手続きを弁護士が代行することで、スムーズに進めることができます。相続財産清算人の選任なども専門家に任せることができます。 - リスクの軽減
空き家問題に伴う法的リスクを最小限に抑えるための対策を講じることができます。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、相続放棄に関する全ての手続きを一括してサポートいたします。お客様の状況に応じた最適な対応策を提案し、安心して相続手続きを進められるようお手伝いします。
まとめ
相続放棄における空き家問題は、単純な相続放棄だけでは解決できない複雑な問題を含んでいます。相続放棄後も管理や法的責任が残る場合があるため、専門家の助言を受けながら慎重に対応することが求められます。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、相続放棄に伴う空き家問題の解決をサポートし、安心して相続手続きを進められるようサポートいたします。
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