はじめに
Q:最近、相続法が改正されたと聞きましたが、具体的にどのような変更があったのでしょうか?
A:相続法の改正では、従来の制度にいくつかの重要な変更が加えられ、相続に関する手続がより柔軟かつ利便性の高いものとなりました。例えば、自筆証書遺言の方式緩和や、預貯金の仮払制度の創設、特別寄与料や配偶者居住権の導入など、多くの新しい規定が設けられました。本稿では、これらの改正点について解説し、相続手続における重要なポイントを整理していきます。当事務所が、皆様の相続手続をサポートいたしますので、是非ご参考ください。
改正相続法の主な変更点
1.自筆証書遺言の方式緩和
従来、自筆証書遺言を作成する場合、遺言書本文および財産目録についてもすべて自署しなければなりませんでした。このため、不動産や多数の財産を有する方にとっては、遺言書を作成することが非常に煩雑な手続でした。
しかし、今回の改正により、財産目録については自署が不要となり、パソコンでの作成や、不動産登記簿謄本や預貯金通帳のコピーを添付することが認められるようになりました。これにより、遺言書の作成が容易となり、法的な効力をもつ遺言を残すハードルが下がりました。
2.預貯金の仮払制度の創設
これまでは、被相続人が亡くなるとその預貯金口座は凍結され、遺産分割協議が成立するまで相続人が自由に引き出すことができませんでした。これにより、葬儀費用や急な支払いが必要な場合に困ることがありました。
改正後は、相続人の一部が金融機関の窓口で一定額の仮払いを受けることが可能になり、早期に資金を得ることができるようになりました。この制度は、遺産分割が完了する前でも生活資金を確保しやすくするためのものです。
3.特別寄与料の創設
従来、被相続人の介護などで特別な貢献をした相続人には「寄与分」が認められていましたが、相続人以外の者(例えば、被相続人の子の配偶者など)には寄与分の主張が認められていませんでした。
改正により、「特別寄与料」の制度が新設され、相続人でない親族も、一定の要件を満たす場合には相続財産から特別寄与料を受け取ることができるようになりました。この変更により、被相続人の介護をしていた親族の貢献がより公平に評価されることになります。
4.遺留分制度の改正
遺留分減殺請求権は、改正により「遺留分侵害額請求権」に変更され、権利行使の方法も見直されました。従来は、遺産そのものを返還することを求める権利でしたが、改正後は侵害された遺留分に相当する金銭の支払いを請求する権利となりました。
また、過去に行われた贈与についても考慮されることになりますが、考慮される贈与の範囲が改正によって明確化され、期間制限も設けられました。
5.配偶者居住権・配偶者短期居住権の創設
被相続人が死亡した後、配偶者がその居住用不動産を引き継ぐことができない場合、従来はすぐに退去しなければならないケースもありました。
改正により、配偶者の居住権を保護するための「配偶者居住権」と「配偶者短期居住権」が新設されました。配偶者短期居住権では、遺産分割や遺言の内容にかかわらず、一定期間、配偶者が住み続けられる権利を認めるものです。
また、配偶者居住権は終身にわたり配偶者の居住を保護するものであり、遺産分割の対象となる不動産の評価額を抑えることができるため、他の相続人との遺産分割協議がより円滑になることが期待されています。
弁護士に相談するメリット
相続法の改正により、新しい手続が導入されましたが、これらを正しく理解し、活用するには法律の専門知識が必要です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、以下のメリットを提供し、皆様の相続手続を全面的にサポートいたします。
1.複雑な手続を適切に進めるサポート
遺言書の作成や預貯金の仮払制度の利用、特別寄与料の請求など、各種手続に関するアドバイスを行い、確実に相続手続を進めます。
2.トラブルの防止と解決
遺産分割協議での紛争や、遺留分を巡る争いについて、弁護士が介入することで適切な対応が可能となり、無用なトラブルを防ぐことができます。
3.新しい法律への対応力
改正法に基づく相続手続は従来と異なる点も多く、最新の法律知識を持つ弁護士がアドバイスをすることで、最適な相続プランを提案します。
まとめ
相続法の改正により、相続に関する制度は大きく変わりました。これまで煩雑であった手続が簡略化され、また、相続人やその親族に対する保護が強化されるなど、相続手続がより柔軟かつ公平になることが期待されています。
本稿で紹介した各改正点を理解したうえで、適切な相続手続を行うことが重要です。相続に関してお困りのことがあれば、ぜひ弁護士法人長瀬総合法律事務所までご相談ください。
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