遺言における付言事項の役割と留意点

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はじめに

遺言書を作成する際、法律的な形式を整えるだけで十分ですか?

遺言書を作成する際、形式を守ることはもちろん大切ですが、それだけでは不十分です。遺言者の真意を伝え、相続人間の争いを防ぐために「付言事項」を記載することが重要です。付言事項を活用することで、遺言の背景や感謝の気持ちを伝え、円滑な相続の実現が期待できます。

遺言における付言事項とは

付言事項の基本的な意味

付言事項とは、遺言書に記載される法的な効力を持たない補足的な内容のことを指します。主に以下のような内容が含まれることが多いです。

  • 遺言内容を決めた背景や理由
  • 相続人への感謝の気持ちや思い
  • 特定の相続人への配慮や期待

法律上の効力を持つ遺言書の内容に対して「付け加える」情報であるため「付言事項」と呼ばれます。

付言事項の具体例

  • 「看病してくれた長男に感謝の気持ちを込めて多くの財産を譲る」
  • 「遠くに住んでいる次男の健康を考慮し、配慮をしました」
  • 「家族が仲良く暮らし続けてくれることを願っています」

これらの内容は、相続人に遺言者の考えを正しく伝え、誤解を防ぐ助けになります。

付言事項の役割

1. 遺言者の真意を伝える

遺言の内容が法定相続分と異なる場合、相続人に「なぜこのような遺言になったのか」を明確に伝える役割があります。これにより、相続人間の理解を促進し、紛争を防ぐ効果が期待できます。

2. 感情的なトラブルの防止

遺言書の内容に納得がいかない相続人が、感情的に不満を抱える場合があります。付言事項を通じて、遺言者の思いや背景を伝えることで、感情的な摩擦を和らげることが可能です。

3. 相続人間の連帯感を高める

遺言書に感謝や励ましの言葉を記載することで、遺言者が亡くなった後も相続人同士の関係性を良好に保つ効果があります。例えば、次のようなメッセージが相続人間の絆を強めるでしょう:

「家族みんなが健康で仲良く暮らし続けることを願っています。」

付言事項の法的効果

法的効力はないが重要

付言事項そのものには法的効力がありません。これは、付言事項が遺言者の意思を説明する内容であり、遺産分配や相続手続の具体的な指示ではないためです。

しかし、以下のような間接的な効果を発揮します:

  1. 遺言無効主張の回避
    遺言の背景や理由を明記することで、相続人が遺言書の内容を不審に思い、無効を主張するリスクを減らせます。
  2. 相続人間の円滑な話し合いを促進
    付言事項に基づき、相続人が遺言者の意図を理解し、合意に至る可能性が高まります。

記載時の注意点

付言事項を記載する際には、以下の点に留意する必要があります。

  • 感情的な表現を避ける(特定の相続人を非難しない)
  • 明確で簡潔な表現を用いる
  • 専門家の助言を受けることで不適切な内容を防ぐ

弁護士に相談するメリット

遺言書に付言事項を記載する際、弁護士に相談することで以下のメリットを得られます。

  1. 適切な表現のアドバイス
    法律的な観点から、遺言者の意図を正確に伝えるための表現を提案してもらえます。
  2. トラブル防止策の提案
    特定の相続人間で問題が起きそうな場合、トラブルを未然に防ぐための適切な付言事項の作成をサポートします。
  3. 法的な安心感の提供
    付言事項以外の遺言内容についても、法律に基づいた確認を受けることで、遺言全体の有効性を確保できます。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、遺言書作成の豊富な経験を基に、依頼者に寄り添ったサポートを提供しています。

まとめ

遺言書に付言事項を記載することは、遺言者の真意を伝え、相続人間の紛争を未然に防ぐ効果的な手段です。付言事項そのものには法的効力はありませんが、相続人の理解を深め、感情的なトラブルを防止するために重要な役割を果たします。

弁護士に相談することで、適切な付言事項の作成を支援してもらい、遺言書全体の完成度を高めることができます。遺言書作成を検討中の方は、ぜひ専門家の助言を受けながら進めてください。


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