預貯金の相続に必要な手続きと書類

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はじめに

故人が生前に利用していた銀行口座の預貯金は、相続財産の中でも特に多くの方が気にする項目のひとつです。生活資金や各種支払いに直結するため、迅速かつ正確に手続きを進めたいところですが、銀行によって必要書類や手続きの流れが微妙に異なるため、戸惑う方が多いのも事実です。

本記事では、預貯金の相続手続に必要な書類や大まかな流れを解説し、トラブルを避けるポイントをご紹介します。相続税の申告期限や遺産分割協議の進め方にも触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

Q&A

Q1. 預貯金口座は名義人が亡くなった時点で凍結されるのですか?

一般的には、金融機関が死亡の事実を知ると口座が凍結され、出金や振込など一切の取引が停止されます。相続手続きが完了するまで自由に引き出すことはできません。

Q2. 相続人が複数いる場合、誰が手続きを行うの?

原則として、相続人全員が預金の払い戻しに同意する必要があります。銀行によっては代表相続人を指定して手続きする方法を提供していますが、遺産分割協議書などで合意が確認できることが条件です。

Q3. 遺産分割協議が終わっていないと払戻しできないのですか?

従来は「預貯金は可分債権なので相続人一人でも部分払い戻しを請求できる」との考えがありましたが、2016年の最高裁判決で「預貯金も遺産分割の対象」と判示されました。そのため、原則として遺産分割協議後に払い戻しをする必要があります。ただし、一定の仮払い制度(家庭裁判所の手続きなど)もあります。

Q4. 必要書類にはどのようなものがありますか?

銀行によりますが、一般的には以下が挙げられます。

  • 被相続人の出生~死亡までの戸籍謄本(相続人を確定するため)
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書(相続人全員の署名・押印があるもの)
  • 代表相続人の実印(銀行所定の用紙への押印)
  • 相続人全員の同意書 など

解説

預貯金相続の流れ

  1. 口座の凍結
    金融機関が死亡の事実を把握した時点で口座は凍結。公共料金等の引き落としもできなくなる。
  2. 相続人と財産内容の調査
    被相続人の戸籍や通帳、銀行からの郵便物などを確認し、どの金融機関にいくつ口座があるかを把握。
  3. 遺産分割協議書の作成
    預金口座の分配方法(誰がいくら相続するか)を明記。相続人全員の署名・押印をする。
  4. 銀行での払戻し手続き
    相続手続き用の書類一式を準備し、金融機関に提出。受け取りは現金もしくは指定口座への振込など。
  5. 相続税申告(必要に応じて)
    10カ月以内に相続税申告が必要かどうかを判断。大きな金額の場合は税理士等と相談。

注意点

  1. 相続人が行方不明の場合
    全員の同意が取れないため、相続放棄や不在者財産管理人の選任を検討。
  2. 代表相続人が勝手に引き出すリスク
    きちんと遺産分割協議書で合意を取り、銀行手続きでも相続人全員の署名・押印を確認するなどのプロセスが必要。
  3. 預金口座が多数ある場合
    各金融機関でそれぞれ手続きが必要。書類の取り寄せが大変になるため、早めの準備を。
  4. 仮払い制度
    新民法の規定により、相続人が葬式費用などを支払う目的で一定額を仮に払い戻す制度があるが、制限が多いため実務では利用しづらい場合もある。

必要書類の詳細

  • 被相続人の戸籍謄本(出生~死亡まで)
    相続人を確定する目的。結婚や離婚、転籍の有無を含めて連続した戸籍が必要。
  • 相続人全員の戸籍抄本・印鑑証明書
    相続人であることと、印鑑の実印登録を確認するため。
  • 遺産分割協議書
    預金についてどのように分割するか記載されている。相続人全員の署名と実印が必要。
  • 銀行所定の払戻請求書
    代表相続人が記入・押印。銀行によって名称やフォーマットが異なる。

弁護士に相談するメリット

  1. 書類不備の防止
    戸籍収集や遺産分割協議書の作成でミスがあると、銀行手続きをやり直す手間が生じます。弁護士が最初からチェックすることでスムーズに進められます。
  2. 相続人の利害調整
    預金額が大きい場合や、他の相続財産も含めて話し合いが難航している場合、弁護士が間に入って協議を円滑に進めることができます。
  3. 特殊ケースへの対応
    行方不明の相続人、不在者財産管理人の選任、仮払い制度の利用など、法律の専門知識が必要な場面での対応が可能です。
  4. 裁判所での手続きサポート
    調停や審判に発展した場合も、弁護士が代理人としてあなたの意向を適切に主張し、早期解決を目指します。

まとめ

預貯金の相続手続きは、銀行口座の凍結→相続人の確定→遺産分割協議書の作成→銀行への手続きという流れが基本です。必要書類は銀行ごとに微妙に異なるため、事前に各金融機関のHPや相談窓口で確認しておくと安心でしょう。

  • 凍結されると生活資金がショートする場合もあるため、速やかな手続きが望ましい
  • 相続人全員の合意(協議書)が欠かせない
  • 書類不備や行方不明の相続人がいるときは、専門家に早めに相談

預貯金相続でお困りの際は、ぜひ弁護士法人長瀬総合法律事務所へご相談ください。最適な解決策とトラブル回避のアドバイスをご提供いたします。


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