配偶者居住権・配偶者短期居住権とは?概要と要件

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はじめに

Q:配偶者居住権と配偶者短期居住権について知りたいのですが、それらはどのような権利ですか?

A:と配偶者居住権と配偶者短期居住権は、配偶者が相続に際して住み続けるための権利です(民法1028条以下)。夫が亡くなった場合、妻が住んでいた家にどうやって居住し続けるかという問題が発生します。配偶者短期居住権はその名の通り、短期間家に住み続けるための権利で、配偶者居住権は長期間または生涯にわたって住み続ける権利です。これらの権利は、特に配偶者が家を相続しない場合でも住み続けられるようにするために、令和2年4月1日以降に発生した相続から新たに認められた権利です。

配偶者居住権と配偶者短期居住権

1.配偶者居住権とは?

配偶者居住権は、配偶者が家の所有権を相続しない場合でも、その家に生涯住み続けることができる権利です。たとえば、夫が家と預金を遺して亡くなった場合、妻がその家に住み続けたいと思っても、遺産分割により家を売却せざるを得なくなることがあります。このような状況を回避するために、配偶者居住権が創設されました。

配偶者居住権を活用することで、家の所有権と居住権を分離し、配偶者が住み続ける権利を確保しつつ、他の相続人には家の所有権を分けることが可能となります。これにより、相続人間の公平性を保ちながら、配偶者が住み慣れた家に住み続けることができます。

2.配偶者短期居住権とは?

配偶者短期居住権は、夫が亡くなった後、妻が短期間家に住み続けることを保障する権利です。具体的には、遺産分割が完了するまで、または相続開始から6か月間のいずれか遅い日まで、妻は無償でその家に住み続けることができます。この権利は、遺言書が作成されていない場合や遺産分割協議が進まない場合に、配偶者がすぐに住まいを失わないようにするための一時的な措置です。

以前は、実務上では判例により、夫が亡くなった後も妻が無償で住み続けることが認められていましたが、法的には明確な制度が存在しませんでした。そのため、この権利が新たに法律で設けられ、配偶者が一時的に安心して住み続けることが可能となりました。

配偶者居住権の成立要件

配偶者居住権が成立するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 遺産分割によって配偶者居住権を取得することが決定された場合。
  2. 遺言書により配偶者居住権が遺贈されている場合。

これらの条件が満たされると、配偶者居住権が正式に成立し、配偶者は生涯その家に住み続けることができます。

弁護士に相談するメリット

配偶者居住権や配偶者短期居住権は比較的新しい制度であり、法律上の細かいルールや税務面での対応が複雑です。弁護士に相談することで、遺産分割協議の進め方や配偶者居住権の登記方法、家の修繕費の負担方法など、専門的なアドバイスを受けることができます。また、適切な手続を行うことで、不要なトラブルや費用を回避できる点も大きなメリットです。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、相続に関する専門的な知識と豊富な経験を持つチームが対応します。相続問題に関しては、複雑な手続や法律の解釈が必要になることが多いため、ぜひご相談をご検討ください。

まとめ

配偶者居住権と配偶者短期居住権は、相続において配偶者の居住権を保護するために設けられた重要な権利です。短期間か長期間かにかかわらず、これらの権利を適切に理解し活用することで、配偶者が安心して住み続けることができます。相続の場面では多くの利害関係者が関わるため、専門家のサポートを受けることが重要です。

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