自筆証書遺言を作成する場合の留意点

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はじめに

Q: 自筆証書遺言を作成する際に注意すべき点を教えてください。

A: 自筆証書遺言は、遺言者自身が手書きで作成する遺言書で、作成時の形式や保管方法に厳密なルールがあります。無効になるリスクや検認手続の必要性を理解し、適切に作成・保管することが重要です。本稿では、自筆証書遺言を作成する際の注意点を解説します。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言は、遺言者自身がすべて手書きで作成する遺言書です。
民法の規定に従うことで、遺言者が希望する財産の分配方法や相続手続を法的に有効な形で示せます。

主な特徴

  • 形式の自由度
    自筆であれば誰でも作成可能。
  • 費用がかからない
    公証人を必要とせず、経済的に負担が少ない。
  • 検認が必要
    法務局での保管を除き、家庭裁判所での検認手続が必須。

自筆証書遺言の書き方のポイント

1. 法的形式の遵守

自筆証書遺言は、法律が定める形式に従わなければ無効になります。例えば、遺言者に意思能力がない場合や、形式的なミスがあれば効力を失います。

2. 全文を直筆で作成

遺言書の内容、日付、署名はすべて自書する必要があります。但し、財産目録については、一定の要件を満たした上で例外的にパソコン等で作成可能となりました。

3. 日付を明記

作成年月日を特定可能な形で記載します。例えば、「令和5年11月30日」のように具体的に記載してください。

4. 署名と押印

遺言者本人の署名と押印が必須です。押印は認め印でも可能ですが、実印の使用が望ましいとされています。

5. 財産を具体的に特定

  • 不動産
    登記簿謄本記載の内容を正確に記載。
  • 預貯金
    銀行名、支店名、口座番号などを詳細に記載。

自筆証書遺言の保管方法

1. 法務局での保管

法務局に預けると、家庭裁判所での検認が不要となります。法務局保管制度を活用することで、紛失や改ざんリスクを軽減できます。

2. 信頼できる第三者に預ける

信頼できる家族や弁護士に保管を依頼することで、遺言書の紛失を防ぎます。

3. 自宅で保管

自宅で保管する場合は、防水性の高いケースに入れるなど、物理的な劣化防止を心掛けましょう。

自筆証書遺言と検認手続の関係

検認手続とは

自筆証書遺言は、遺言書の有効性を確認するため、家庭裁判所で検認手続を行う必要があります。法務局で保管された場合、この手続は不要です。

手続の流れ

  1. 家庭裁判所に遺言書を提出
  2. 検認日時を決定し、相続人全員に通知
  3. 検認当日、裁判所で内容を確認

検認手続は遺言書の効力を保証するものではなく、形式確認のみを目的とします。

弁護士に相談するメリット

  1. 無効リスクの回避
    弁護士が内容と形式を確認することで、遺言書が無効になるリスクを減らします。
  2. 相続トラブルの防止
    適切な遺言内容により、相続人間の紛争を未然に防ぐことができます。
  3. 専門的なアドバイス
    遺言作成時に、特定の相続税対策や家族信託の提案など、専門的なアドバイスを受けられます。
  4. 安全な保管
    弁護士事務所に保管を依頼することで、改ざんや紛失のリスクを防げます。

まとめ

自筆証書遺言は、作成時に法律で定められた形式を守ることが重要です。加えて、適切な保管方法や検認手続の理解も欠かせません。遺言書の作成や保管、さらには相続全般に関する不安がある場合は、弁護士法人長瀬総合法律事務所にぜひご相談ください。相続問題の解決に特化したチームが皆様をサポートします。


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