はじめに
近年、「空き家問題」や「所有者不明土地問題」が深刻化する中、国は不動産の相続登記を放置しないよう法整備を進めています。その結果、2024年以降に相続登記の義務化が施行される見通しとなり、一定期間内に登記をしなければ過料を科される可能性が高まってきました。
しかしながら、「まだ具体的な施行日は詳しく知らない」「罰則の内容はどうなるの?」「そもそも相続登記は面倒」といった声も多いのが現状です。本記事では、相続登記義務化の概要と、取っておくべき対応策をわかりやすく解説します。
Q&A
Q1. 相続登記義務化はいつから施行されるのですか?
2021年に改正法が成立し、段階的に施行されることが決まりました。2024年に施行され、相続開始の事実を知った日から3年以内に登記申請をすることが義務付けられます。
Q2. 登記しないと罰則があるって本当?
はい、一定期間を過ぎても相続登記を行わない場合、過料を科す旨が法律に盛り込まれました。所有者不明土地問題を解消するための強い措置といえます。
Q3. なぜ相続登記が義務化されるのでしょうか?
空き家や山林などの不動産が何代にもわたり登記されず放置されていると、行政の管理が困難になり、公共事業や再開発に支障をきたすからです。また、相続登記を放置した後に相続人が増えていくと、誰が所有者なのか分からなくなり、売却も難しくなります。
Q4. 既に亡くなった親族の不動産を放置していた場合はどうすれば?
過去の相続登記をまとめて行う必要があります。時期によっては遺産分割協議や、遠縁の相続人とコンタクトを取る必要があるため、弁護士などの専門家に相談することもご検討ください。
解説
相続登記義務化のポイント
- 一定期間内の登記申請
- 「相続が開始した事実を知った日(通常は被相続人の死亡を知った日)から3年以内に登記を申請」
- 例外的な事情があれば期間が延長される可能性もある
- 過料の導入
- 正当な理由なく登記を怠った場合、過料(行政罰)を科す仕組み
- 金額は事案によって異なる
施行による影響と課題
- 相続人間の対立があっても期限内に何らかの登記申請が必要
完全に決着がついていない場合でも、登記を先延ばしにできなくなるため、早期に遺産分割協議を行う必要がある - 事実上の所有者がはっきりしていない不動産
親族の誰も管理していない山林や空き家なども、改正法により登記をしなければならない。この際、相続人探しが困難になる場合も多い - 専門家への依頼増
戸籍調査や登記手続きに時間がかかるため、司法書士や弁護士への相談が増加すると予想される
対応策
- 早めの遺産分割協議
- 相続が発生したら速やかに相続人を確定し、不動産を誰が相続するか決定
- 法定相続分で仮登記する方法も検討されているが、最終的に確定させるためには協議が必要
- 専門家への相談
- 弁護士や司法書士に依頼すれば、必要書類の収集や戸籍調査などを効率的に進められる
- 不動産評価や代償分割を含めた総合的なプランを作成
- 共有状態を避ける
- 将来的な売却や管理を考慮すると、単独相続や代償金を用いた分割が望ましい
- 共有を選ぶ場合でも登記名義を早めに完了し、管理ルールを定めておく
旧未登記不動産への対処
- 複数世代にわたって登記がされていない
既に故人(被相続人)が何代も前の状態となる場合、複数回の相続登記をまとめて行う必要がある - 相続人の範囲が不明
遠縁の親族が相続人になるケースもあり、専門家の力が不可欠。家庭裁判所の調停や不在者財産管理人の選任が必要となる場合も
弁護士に相談するメリット
- 複雑な相続人調査
戸籍が多岐にわたる場合、弁護士が徹底的に調査し、全ての相続人を確定 - 紛争対応
遺産分割協議がまとまらない場合、調停・審判など法的手段で解決を図れる - 登記申請サポート
法務局への書類作成や申請を、提携司法書士とともにスムーズに進行 - 義務化への不安を解消
どのように手続きを行えば良いか分からないという方も、弁護士が全体のプロセスを明確にしながらアドバイス
まとめ
相続登記義務化が進むことで、不動産の相続登記を放置している人は早急に対応を求められる時代となります。登記を怠れば過料などの罰則リスクが生じ、さらに将来の売却や管理でも大きな支障が出かねません。以下の対策が重要です。
- 相続が発生したら、早めに遺産分割協議を行う
- 相続人が多い・行方不明者がいる場合は専門家と連携
- 共有をできるだけ避け、単独相続や代償分割を検討
- 必要書類(戸籍、固定資産税評価証明書など)を整え、期限内に登記完了
もし相続登記を長年放置してきた不動産がある、あるいは登記義務化に向けてどのように動けば良いのか分からない場合は、ぜひ弁護士法人長瀬総合法律事務所へご相談ください。
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