はじめに
Q:親の遺産としてマンションやアパートなどの共同住宅を相続することになった場合、どのような点に注意すればよいでしょうか?
A:共同住宅の相続においては、法定相続分や相続税、賃借人との関係など、さまざまなポイントを考慮しなければなりません。特に、収益物件の価値や相続税の負担について事前に理解しておくことが重要です。本記事では、共同住宅の相続に関する注意点や対策について、弁護士法人長瀬総合法律事務所が解説いたします。
共同住宅を相続する際の注意点
共同住宅(マンション、アパート等)が相続財産に含まれている場合、その取り扱いには特別な注意が必要です。実家の土地や建物とは異なり、収益物件には特有の課題がありますので、以下のポイントを確認しましょう。
1.収益物件の評価額が高額になりやすい
収益物件(アパートやマンションなど)は、賃料収入が見込めるため、その不動産評価額が高額になる傾向があります。仮に遺産に収益物件が含まれている場合、他の相続財産(預貯金や自宅の土地・建物)と合わせて法定相続分に基づき分配を行うことが必要です。
もし、収益物件の取得を希望する場合、その評価額が遺産全体の大半を占めてしまうことがあり、他の相続人に対して「代償金」として現金で補償を行わなければならない可能性があります。このような金銭的負担が発生し得る点について、事前に把握しておくことが重要です。
2.相続税の負担
相続税は、遺産分割協議の結果、相続人それぞれが取得することになった金額に応じて課税されます。特に収益物件はその評価額が高くなるため、相続税の負担も大きくなる可能性が高いです。
相続税は、原則として相続の発生を知った日から10か月以内に納付をしなければなりません。そのため、相続税の納付資金をあらかじめ準備できない場合は、相続財産を売却して納税資金を捻出するなどの対策を検討する必要があります。
3.賃借人とのトラブルの可能性
収益物件を相続することで、被相続人(亡くなった方)が所有していた賃貸借契約上の「貸主」としての地位を引き継ぐことになります。これにより、賃借人との間でトラブルが生じた場合、その解決も引き継ぐことになります。
例えば、物件の老朽化に伴う修繕の必要性が生じたり、過去に賃借人とトラブルが発生していた場合は、その対応を引き継ぐことになります。こうしたトラブルを避けるためにも、相続前に物件の状態を調査し、必要であれば管理会社を活用するなどの対策を講じることが望ましいです。
共同住宅を相続する際の対策
共同住宅の相続におけるリスクや負担を軽減するために、以下の対策を検討してください。
1.遺産分割協議を円満に進める
遺産分割協議において、各相続人の希望をしっかりと把握し、全員が納得できる分割内容を目指しましょう。収益物件の取得希望者がいる場合、その価値と他の財産とのバランスを考慮しながら、代償金の支払いなどの調整を行います。
2.相続税の事前対策を行う
相続税の負担を軽減するために、相続財産の評価を適切に行い、納税資金の準備や生命保険の活用、または相続開始前に物件を売却することなどを検討することが効果的です。
3.専門家のサポートを受ける
相続に関する手続きや調整は、法律や税務の専門的な知識を要するため、弁護士や税理士といった専門家のサポートを受けることをお勧めします。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、相続に関するご相談に対応しており、円滑な相続手続をサポートいたします。
弁護士に相談するメリット
弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。
- 法的な観点からのアドバイスが受けられる
相続に関する法的な観点から、トラブルの予防や解決策についてアドバイスを受けられます。 - 遺産分割協議の円滑な進行
遺産分割協議においては、相続人間での意見の相違が生じることがよくあります。弁護士が中立的な立場で協議をサポートすることで、円滑な進行が可能となります。 - 税務対策のサポート
相続税に関する専門的なアドバイスや納税資金の準備など、税務対策についても支援を受けられます。
まとめ
共同住宅の相続は、他の相続財産とは異なる特有の課題が存在します。そのため、相続税の負担や賃借人との関係、物件の管理について事前に理解し、適切な対策を講じることが重要です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、相続に関するご相談に対応しておりますので、お困りの際はぜひご相談ください。
また、相続に関する詳しい解説は、以下の動画でもご覧いただけますので、ぜひ参考にしてください。
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