遺言書の付言事項とは?

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はじめに

Q:遺言書に財産の処分に関する説明を付け加えたいと考えています。これは可能でしょうか?

A:遺言書には、財産の処分に関する事項や相続人への配分について記載することができます。さらに、法的な効力はないものの「付言事項」として、遺言者の意思や希望を文章に残すことも可能です。例えば、なぜ特定の相続人に多めの財産を渡したいのか、その他の家族へのメッセージなどを伝える手段として活用できます。このような付言事項を記載することは、遺産分割時の相続人間の理解や調整を促進する上で有効です。

以下では、遺言書における財産処分の説明や付言事項について解説します。

1.遺言書における財産処分の記載方法

遺言書は、遺言者の最後の意思を記すものであり、遺産の配分や財産の処分方法について明記できます。この際、記載できる事項には次のようなものがあります。

  • 財産の分配方法
    相続人に対して、どの財産をどのような割合で分配するかを指定できます。
  • 特定の相続人に多くの財産を配分する理由の説明
    付言事項として、なぜ特定の相続人に多くの財産を残したいのかといった、配分に対する遺言者の思いを述べることができます。

これらの内容は、遺言書の中に記載することで、法的拘束力はありませんが、相続人の間での理解を深め、紛争の回避につながる可能性があります。

付言事項とは?

付言事項とは、遺言書の中で法定事項以外の意思や希望を記載する部分です。付言事項には以下のような内容を盛り込むことができます。

  • 相続分の配分理由
    例えば、「長男には私の事業を引き継いでもらいたいので、多くの財産を相続させる」など。
  • 感謝の言葉やメッセージ
    家族や親族への感謝や、最後のメッセージを伝えることも可能です。
  • 葬儀の希望や墓の管理に関する要望
    葬儀の形式や埋葬方法についての希望を記すこともできます。

これらの付言事項を記載することで、相続人に遺言者の意向をより深く理解してもらうことができるでしょう。

2.遺言書に付言事項を記載するメリット

付言事項を記載することにはいくつかのメリットがあります。

1.相続人間の争いを防止する

遺産分割の際に、遺言者の意図が明確であることは、相続人間の不和や争いを未然に防ぐ効果が期待できます。特に、特定の相続人に多くの財産を残す場合、その理由を説明しておくことで他の相続人の理解を得やすくなります。

2.家族への最後のメッセージを伝えられる

感謝の言葉や家族への思いを付言事項として残すことで、遺言者の思いを伝えることができます。これにより、遺言書が単なる財産分配の指示書ではなく、遺言者の心情を伝えるものとなります。

3.葬儀や供養の希望を記すことができる

遺言者が希望する葬儀の形式や墓の管理に関する要望を記載することで、残された家族が遺言者の意向に沿った形で葬儀等を行うことができます。

3.遺言書に記載できるその他の内容

遺言書には、財産の分配に関する事項以外にも、次のような内容を記載できます。

  • 認知や後見人の指定
    未成年の子供がいる場合、その子供の認知や後見人を指定することが可能です。
  • 寄付や贈与
    特定の団体や個人への寄付や贈与についても、遺言書に明記することができます。
  • 負債の整理
    遺産の中で負債をどのように処理するかを記載することもできます。

これらの事項を遺言書に明記することで、相続人や関係者に対して遺言者の意図を明確に伝え、スムーズな遺産分割手続が行えるようにします。

4.遺言書の作成時の注意点

遺言書を作成する際には、以下の点に注意する必要があります。

1.法的な要件を満たしているか確認する

遺言書が法的に有効であるためには、所定の形式を守る必要があります。例えば、自筆証書遺言の場合、全文を自書し、署名・押印を行うことが求められます(民法第968条)。

2.遺言執行者を指定する

遺言書の内容を確実に実現するために、遺言執行者を指定しておくことが望ましいです。遺言執行者は、遺言内容を実行する役割を担う人物です。

3.遺留分に配慮する

遺留分は、法定相続人が最低限受け取ることができる相続分です。遺留分を侵害しないように遺言書を作成することが重要です。

5.まとめ

遺言書において、財産の分配や処分に関する説明を付け加えることは可能であり、付言事項として遺言者の意思を伝えることができます。これにより、相続人間の理解を深め、相続に関する争いを防ぐことが期待できます。遺言書を作成する際は、法的要件を満たし、遺言者の意図を正確に伝える内容とすることが大切です。


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