遺言書が見つからない場合の対処法

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はじめに

「亡くなった親族が遺言書を書いていたかもしれないのに、どこを探しても見つからない」――実務でよくある相談のひとつです。
遺言書が見つからない場合、相続人同士で情報を持ち寄って探すことから始めるのが一般的ですが、それでも見つからないケースは少なくありません。そうなると、「本当に遺言書は存在しなかったのか?」それとも「誰かが隠しているのか?」など、疑心暗鬼になって相続トラブルに発展することもあります。

本記事では、遺言書が見つからない場合の具体的な対処法や、探す際のヒント、また遺言書がない場合の相続の進め方について解説します。

Q&A

遺言書が本当にあるかどうかを確かめる手段は?

まず、遺言者が法務局の遺言書保管制度を利用していたかを確認します。利用していれば、法務局で保管されている可能性があります。また、公正証書遺言の場合は公証役場のデータベースで検索が可能です。

親族が故意に遺言書を隠している可能性がある場合はどうすれば?

相続人全員でよく話し合い、「どこに保管されている可能性があるのか」を洗い出しましょう。悪意ある隠匿が疑われる場合には、専門家に相談のうえで民事上の手続きや調停などを検討することもあります。

遺言書が見つからない場合、どうやって相続手続を進めるの?

遺言書がない場合は、原則として法定相続に基づいて遺産分割を行います。相続人全員で遺産分割協議を行い、合意に至れば遺産分割協議書を作成して各種手続きを進めます。もし話がまとまらなければ、調停や審判に移行することもあります。

遺言書が後になって見つかったらどうなる?

遺言書の内容が有効なら、後から発見された遺言書に基づき相続をやり直す必要があります。ただし、新たに発見された遺言書と既に執行されていた遺言書が矛盾する場合など、法的整理が必要となり、トラブルに発展することがあります。

解説

遺言書を探す手順

  1. 自宅の金庫・机・書斎などの徹底捜索
    貴重品を保管している場所や日記帳、手紙などの近くを調べます。
  2. 銀行の貸金庫の有無
    貸金庫を借りている場合、そこに遺言書を保管していた可能性があります。
  3. 法務局の遺言書保管制度の検索
    遺言者が生前に保管制度を利用していれば、所定の手続きで検索できます。
  4. 公正証書遺言の有無確認
    全国の公証役場で管理されているデータベースで確認可能です。

遺言書が見つからなかったときの対応

  • 法定相続による遺産分割
    遺言書がなければ、相続人全員の協議により分割割合を決めます。法律上の相続順位や相続分に従う形が基本。
  • 協議がまとまらない場合
    家庭裁判所での調停や審判を利用します。

隠匿を疑う場合の注意点

  • 悪意ある隠匿は相続欠格の可能性
    もし相続人が故意に遺言書を破棄・隠匿した場合、それを理由として相続欠格に該当することがあります。ただし、故意を立証するのは容易ではありません。
  • 証拠を確保する
    遺言書があった可能性を示すメモや証言などを集め、専門家に相談することで、家庭裁判所や調停委員を説得できる場合があります。

トラブル回避のためにできること

  • 生前の段階で保管場所を明示しておく
    遺言者自身が、信頼できる家族や専門家に「遺言書はここに保管している」と伝えておく。
  • 公正証書遺言を選択する
    紛失リスクを根本的に排除でき、公証役場にデータが残るため、「書いたはずなのに見つからない」という状況を防ぎやすい。
  • 弁護士に依頼し、遺言執行者を指定しておく
    遺言執行者が弁護士であれば、保管含めて管理を任せられ、相続人間の争いを予防しやすくなります。

弁護士に相談するメリット

  1. 法務局や公証役場への照会手続き
    弁護士が代理人として照会を行うことで、スムーズに遺言書の有無を確認できます。
  2. 隠匿が疑われる場合の対応
    疑惑だけで動くのはリスクが高いので、弁護士の助言のもと、証拠を整理しながら適切な手続きを検討します。
  3. 遺産分割協議のサポート
    遺言書がない場合でも、弁護士が間に入って協議を行うことで、相続人同士の衝突を和らげ、短期間での合意形成が期待できます。
  4. 後から見つかった遺言書の有効性判断
    新たに発見された遺言書が本当に有効かどうか、形式不備や筆跡などの問題をチェックし、争いを最小限にする方策を提案します。

まとめ

遺言書が見つからないと、相続人全員が困惑し、時には不信感を抱くことにもつながります。しかし、以下のポイントを押さえておけば、対応を進めやすくなるでしょう。

  1. まずは法務局保管制度や公正証書データベースを確認
  2. 自宅や貸金庫など、思い当たる場所を入念に探す
  3. 見つからなければ、法定相続に基づき協議を行う
  4. 隠匿が疑われる場合は証拠を集め、弁護士に相談

遺言書がないことで大きなトラブルに発展する前に、弁護士法人長瀬総合法律事務所へご相談ください。早期に正しい手順を踏めば、相続人同士の感情的対立を和らげ、スムーズな相続手続きにつなげられます。

相続に関する留意点を動画でも詳しく解説しています。短い時間で要点を把握できるので、ぜひご視聴ください。


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相続問題について解説した動画を公開しています。遺言書の基本的な種類や作成方法をはじめ、相続手続全般にわたって、専門家の視点から分かりやすくまとめています。相続問題にお悩みの方や、より深い知識を得たい方は、ぜひこちらの動画もご参照ください。


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