遺産・預金を使い込まれてしまった立場の留意点

遺産・預金の使い込みのケースでは、使い込みをされてしまったと主張されている立場において、留意すべきポイントは以下の5つが上げられます。

 

反論① 預金の引き出しに関与していない

被相続人の遺産・預金の使い込みを疑った場合、相手方から、そもそも預金の引き出しに関与していないという反論をされるパターンがあります。

この場合、実際に遺産・預金の使い込みをしていないのであれば、当然に預金の引き出しに関与している事実もないことになります。

もっとも、実際には預金の引き出しに関与している事実がある場合、以下の間接事実から、預金の引き出しに関与していたと推認できることがあります。

(1) 金銭の移動状況

問題となる口座からの引出が行われた時期と近接した時期に、同程度の金額の入金が自身の口座に行われていた事実は、関与を推認させる有力な事情とできる可能性があります。

(2) 引き出し行為に関連する事情

一例ですが、窓口での払戻しがされた場合、金融機関の払戻請求書の筆跡等から引出行為者が認定されることがあります。

(3) 被相続人の健康状態・通帳等の管理状況

問題となる引出行為当時、被相続人の心身の状態が悪く、金融機関又はATMまで 物理的に行けないような場合、被相続人以外の誰が引出行為に及ぶことができたのかという問題となり、特に被相続人と相手方が同居していた(あるいは日常的に介護していた)という事情は、有力な間接事実となりえます。

(4) 主張の矛盾

例えが、問題となる時期に当該金融機関支店に出入りしていないと主張していながら、後の調査嘱託によって、自身の筆跡による払戻請求書の存在が判明し、関与を否定した従前の主張から、被相続人の預金の引き出しを補助したという主張型へ説明が変遷するケースでは、そのような経過自体が、相手方の主張の信用性を否定する事情となりえます。

 

反論② 預金の引き出しを補助したに過ぎない

(1) 被相続人を補助した場合

被相続人に付き添って金融機関の窓口に行き、被相続人の依頼や指示又は同意の下で払戻請求書を作成し、そのために払戻金を受領したという事実が認められる場合、被相続人の意思能力に問題がない限り、引出行為をしたのは被相続人と評価すべきであり、原則として責任を問うことはできないといえます。もっとも、このような主張が認められるだけの主張・立証を相手方がすることができるかという問題があります。
そこで、相手方に対し、被相続人を補助することになった事情や、その内容等を詳細に確認していくなどの対応が求められます。

(2) 第三者を補助した場合

第三者と共に金融機関の窓口に行き、第三者の依頼の下で払戻請求書を作成し,そのために払戻金を受領したという事実が認められる場合、引出行為を行った者が誰かという点も問題となり得ますが、そもそもそのような引出行為が被相 続人の承諾の下で行われているのかということも問題となります。
場合によっては、第三者との共同不法行為ともなり得ますので、第三者とのっ関係性も検討する必要があります。

 

反論③ 預金の引き出し後に被相続人本人に交付した

被相続人に払戻しを依頼された経緯や、被相続人における払戻金の使途など、可能な限り詳細な事実関係を明らかにし、これらを裏付ける証拠の提出によって、免責されることもあり得ます。

もっとも、被相続人へ交付したと主張する額が、被相続人の資金需要からみて不相当なほど高額であったり、払戻額が相当高額であるにもかかわらず、その使途を全く聞いていないと述べたりするなど、主張内容が不自然であることは、このような主張の信用性を否定する事情ともなり得ます。

そこで、相手方が本当に預金の引き出し後に被相続人本人へ払戻金を返還したといえるのか、慎重に検討する必要があります。

 

反論④ 預金の引き出しを任されていた

被相続人の有効な承諾,同意,委託等の授権行為がある限り,引出行為者がその範囲内において被相続人の預貯金を引き出すことは違法とはならないことになります。

もっとも、被相続人の当時の意思能力や心身の状態、通帳等の管理状況によって、果たしてそのような被相続人の承諾や同意、委託等があったといえるかどうかが問題となります。

 

反論⑤ 引き出した預金を被相続人のために使用した

引き出した預金を被相続人のために使用したと主張する場合には、何に使用したのかは、当該使用者である自分自身がもっともよく分かる立場にあるため、具体的に主張・立証することが求められます。

この主張・立証が不十分な場合には、被相続人のために使用したという主張自体、厳しいということになり得ます。

 

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