相続における保証人問題の対処方法

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Q&A

Q:被相続人が保証人になっていたかもしれませんが、どうすればよいのでしょうか?

A:被相続人が保証人になっていた可能性がある場合、相続人としては早めに確認し、適切な対応を取ることが重要です。保証人の地位も相続されるため、債務を引き継ぐ可能性があります。法的なリスクを最小限にするため、以下の手順に従い、相続手続を進めることをお勧めします。また、相続放棄や限定承認などの選択肢もありますので、慎重な判断が必要です。

はじめに

相続において、被相続人が生前に保証人としての地位を持っていた場合、その債務がどのように扱われるのかは、相続人にとって大きな問題です。保証人としての責任が相続される場合、相続人は被相続人の代わりに債務を履行する義務を負う可能性があります。しかし、適切な手続きを踏めば、その責任を回避することも可能です。

本稿では、保証人問題に対する基本的な対処法と、弁護士に相談するメリットについて解説します。

保証人としての地位の確認方法

1.財産調査を行う

相続が開始された場合、まずは被相続人の財産や債務状況を調査することが大切です。財産目録を作成し、銀行や金融機関からの通知や契約書類を確認して、保証人としての契約がないかを調べましょう。

2.保証債務の有無の確認

被相続人が保証人となっていたかを確認するためには、金融機関や取引先からの通知、あるいは債権者からの連絡を受け取ることがあります。保証債務の存在が確認された場合、相続人としてその責任をどのように処理するかを検討する必要があります。

3.債務の引き継ぎについての注意点

日本の民法において、保証人の地位も相続の対象となります(民法第896条)。そのため、被相続人が保証人として負っていた債務も、相続人が引き継ぐ可能性があります。しかし、相続人全員が共同で負担するのではなく、個別に対応が必要です。

相続放棄や限定承認の選択肢

1.相続放棄

相続放棄を選択することで、被相続人の財産や債務を一切引き継がないことが可能です。これは、裁判所に対して「相続放棄の申述」を行うことにより進められます。相続放棄の申請は相続開始を知った時から3ヶ月以内に行う必要があります。

2.限定承認

限定承認は、相続した財産の範囲内でのみ債務を負うという方法です。この手続を選ぶことで、債務が財産を超える場合でも、相続人自身の財産が差し押さえられることを防ぐことができます。ただし、この手続も裁判所への申立が必要です。

保証債務を相続した場合の対処法

1.債権者との交渉

保証債務を相続した場合、まずは債権者と協議を行うことが重要です。債務の返済条件や猶予期間の設定など、交渉によって相続人の負担を軽減する方法が検討されます。

2.法的手続の活用

保証債務の額が大きい場合や、債権者との交渉が難航する場合には、法的な手続きを活用することが考えられます。これには、債務整理や破産手続などが含まれます。専門家のアドバイスを受けることで、最適な対応策を見つけることができます。

弁護士に相談するメリット

相続に関する問題、とりわけ保証人に関連するケースでは、法律の専門家である弁護士に相談することが強く推奨されます。弁護士に相談するメリットには、以下のような点が挙げられます。

法的リスクの把握と対応策の提案

弁護士は、保証債務の内容や相続人の責任範囲を正確に把握し、適切な対応策を提示します。

債権者との交渉支援

債権者との交渉は専門的な知識と経験が必要です。弁護士が代理で交渉を行うことで、より有利な条件で合意が得られる可能性が高まります。

相続放棄や限定承認の手続支援

相続放棄や限定承認は複雑な手続を伴いますが、弁護士のサポートによって、適切な時期に必要な書類を提出し、確実な対応が可能となります。

トラブルの予防

相続におけるトラブルを未然に防ぐために、弁護士による早期のアドバイスが有効です。問題が拡大する前に適切な対応を取ることができます。

まとめ

相続において、被相続人が保証人になっていた場合、その対応は慎重に検討しましょう。保証債務を確認し、相続放棄や限定承認といった選択肢を検討することで、相続人としてのリスクを最小限に抑えることが可能です。また、法律の専門家である弁護士に相談することで、法的な助言を受けつつ、最適な解決策を導き出すことが期待できます。


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