共有不動産の処分に関する法的課題と解決方法

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はじめに

Q:共同相続した不動産を売却して代金を分配したいのですが、どのように進めればよいのでしょうか?

A:不動産の相続は、多くの方にとって複雑で分かりにくい手続です。特に、相続人が複数いる場合は、その不動産をどのように管理し、売却代金をどのように分配するかで悩まれることも多いです。本記事では、共同で相続した不動産を売却し、その売却代金を分配するための流れや注意点について、弁護士法人長瀬総合法律事務所が解説いたします。

不動産を共同で売却する際の手続き

被相続人の名義である不動産は、被相続人が亡くなられたと同時に相続人にその所有権(共有持分権)が承継されます。つまり、被相続人の財産が法定相続人に引き継がれることを意味します。しかし、これにより不動産の登記名義が自動的に変更されるわけではないため、実際に売却する際にはいくつかの手続きが必要です。

相続人が複数人いる場合、その不動産は「共有」の状態になります。「共有」の不動産を売却するためには、相続人全員の同意が必要です(民法第251条)。また、売却後の代金を分配する際には、売却にかかる費用や不動産業者に支払う仲介手数料などを差し引いた後で、相続人全員に分配することになります。

売却代金の分配方法

売却代金は、法定相続割合に従って分配するのが一般的です。ただし、相続人同士で法定相続割合とは異なる割合で分配することについて合意することも可能です。このような場合には、事前に「分配方法に関する合意書」を作成しておくことが望ましいです。

売却手続きの流れ

  1. 遺産分割協議を行う
    まずは、相続人全員で遺産分割協議を行い、不動産を売却することについて合意します。
  2. 登記名義の変更
    遺産分割協議の結果に基づき、被相続人名義の不動産を相続人全員の名義に変更します。登記名義を相続人全員の共有名義にすることが一般的です。
  3. 不動産の売却
    不動産業者を介して、売却の手続きを行います。この際、不動産業者に仲介手数料を支払うことになります。
  4. 売却代金の分配
    売却代金から必要経費を差し引いた後、法定相続割合に従って代金を分配します。
  5. 税金の申告と納税
    売却代金を受け取った後には、相続税や譲渡所得税の申告が必要となる場合があります。税務署に適切に申告し、納税を行います。

共同売却における注意点

相続人全員の同意が必要

不動産を売却するには、相続人全員の同意を得る必要があります。1人でも反対者がいると、売却することはできません。このため、相続人同士でしっかりと話し合い、全員が納得した上で手続きを進めることが重要です。

相続税や譲渡所得税の負担

不動産の売却代金を受け取ると、相続税のほかに、譲渡所得税が発生することがあります。譲渡所得税は、売却した不動産の取得価額と売却価額の差額に対して課税されるため、事前に税理士等の専門家に相談しておくことをお勧めします。

弁護士に相談するメリット

不動産の相続問題は、法律上の問題だけでなく、相続人同士の感情的な対立も生じやすいものです。弁護士に相談することで、次のようなメリットがあります。

  1. 法律面での正確なアドバイスが得られる
    法律に基づいた適切なアドバイスを受けることで、相続手続きや売却手続をスムーズに進めることができます。
  2. トラブル回避や紛争解決のサポート
    相続人同士の意見の相違やトラブルを未然に防ぎ、円満な解決に導くための調整を行います。
  3. 複雑な手続きの代行
    弁護士が手続きの代行を行うことで、相続人の負担を軽減し、迅速な手続きを実現できます。

まとめ

共同で相続した不動産を売却し、その代金を分配することは、相続人間での協力が求められる繊細な作業です。売却手続きや代金の分配には、法律の知識や実務的な判断が必要となりますので、専門家のアドバイスを受けながら進めることが重要です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、相続や不動産売却に関するサポートを行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。


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