はじめに
日本の相続法において、内縁配偶者には法律上の相続権が認められていません。しかし、内縁の夫または妻との生活を長年共にしてきた場合、その遺産を取得する手段や可能性があるのか、多くの方が疑問に思われることがあります。
この記事では、内縁配偶者が遺産をどのように取得できるのか、またその対策についてQ&A形式で解説していきます。
Q&A
Q1:長年連れ添った内縁の夫が亡くなりましたが、私は相続権を持っていないのでしょうか?
A1:現行の法律では、内縁配偶者には相続権が認められていません。法的な婚姻関係がなければ、配偶者としての相続権は発生しないのが原則です。このため、内縁の夫の遺産は法定相続人である親族、例えば兄弟姉妹が相続することになります。
Q2:他に内縁の夫の遺産を取得する方法はありますか?
A2:場合によっては、内縁配偶者が「特別縁故者」として遺産を取得できる可能性があります。特別縁故者とは、被相続人と生前に特別な縁があった者を指し、民法第958条の2に基づき遺産の一部を受け取れることがあります。ただし、この制度は相続人がいない場合に限られます。もし法定相続人である兄弟姉妹がいる場合、この特別縁故者制度を利用することは困難です。
Q3:特別寄与料という制度があると聞きましたが、これを利用することはできますか?
A3:特別寄与料は、被相続人の親族に限られるため、内縁配偶者には適用されません(民法第1050条1項)。したがって、内縁の夫に対していくら貢献したとしても、この制度を利用して遺産を取得することはできません。
Q4:事前に何をしておけば、内縁の夫の財産を取得できるのでしょうか?
A4:内縁の夫が生前に遺産を内縁配偶者に残したいと考えている場合、2つの方法があります。一つは「生前贈与」、もう一つは「遺贈」です。遺贈とは、遺言書を通じて特定の財産を指定された人に贈ることです。被相続人が遺言書を作成していた場合、内縁配偶者が遺産を取得できる可能性が高まります。
解説
内縁関係は法律上の婚姻とは異なり、相続においては制限があります。内縁配偶者には法律上の相続権がないため、法定相続人となる兄弟姉妹や子どもがいる場合、その者たちが遺産を取得します。内縁配偶者が遺産を取得できる唯一の法的手段は、先ほど述べた「特別縁故者」として認定されることですが、これも法定相続人がいない場合に限られます。
また、特別寄与料という制度も内縁配偶者には適用されません。これは、民法第1050条で定められた制度であり、被相続人の親族が貢献した場合に限り認められます。
弁護士に相談するメリット
相続問題は法律が複雑で、内縁配偶者が遺産を取得するためには事前にしっかりとした対策が必要です。弁護士に相談することで、最適な方法を選択し、トラブルを未然に防ぐことができます。例えば、遺言書の作成や生前贈与の手続など、法的な助言を受けることで、内縁配偶者の利益を守ることが可能です。弁護士法人長瀬総合法律事務所は、相続問題に精通した弁護士が対応しており、個別の事情に応じたアドバイスを提供します。
まとめ
内縁配偶者は法的には相続権を持ちませんが、事前に遺言書を作成してもらうなど、適切な対策を取ることで、遺産を取得する道を確保することができます。相続の問題は非常に複雑ですので、弁護士に相談し、法律の専門家からアドバイスを受けることもご検討ください。
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