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非嫡出子の相続権に関する法律改正

2025-02-09
Home » コラム

はじめに

相続において、かつては「婚姻関係にない両親から生まれた子(非嫡出子)」と「婚姻関係にある両親から生まれた子(嫡出子)」とで、相続分に差があったことをご存じでしょうか。以前は非嫡出子の相続分が嫡出子の相続分の2分の1とされており、社会問題ともなっていました。

しかし、最高裁判所の違憲判決を受けて、民法が改正され、現在では非嫡出子の相続分も嫡出子と同等と認められています。本記事では、この法律改正の経緯と内容、そして実務上のポイントを解説します。「非嫡出子にどのような相続権があるのか」を整理するためのご参考となれば幸いです。

Q&A

Q1. 非嫡出子とはどのような子どもを指しますか?

非嫡出子とは、法律上有効な婚姻関係にない男女の間に生まれた子をいいます。俗に「婚外子」とも呼ばれます。一方で、正式に婚姻している夫婦から生まれた子は「嫡出子」とされます。

Q2. 非嫡出子の相続分は現在どうなっていますか?

2013年の法改正以来、嫡出子と同等の相続分が与えられています。かつては嫡出子の1/2に制限されていましたが、最高裁で違憲と判断され、民法改正によって解消されました。

Q3. 非嫡出子が相続人となるためには、父親から認知される必要がありますか?

はい、父子関係を法的に確立するには「認知」が必要です。父親が生前に任意で認知する場合もあれば、裁判所で認知を求める場合(強制認知)もあります。認知されれば、父親の相続において嫡出子と同じ相続分を主張できます。

Q4. すでに発生した相続でも、過去にさかのぼって非嫡出子の相続分が修正されるのでしょうか?

非嫡出子の相続分が修正された改正法の適用は、平成13年7月1日から同25年9月4日までに相続が開始した事案について、①平成25年9月5日以降に遺産の分割等がされる場合は適用される一方、②平成25年9月4日以前に遺産の分割の審判その他の裁判、遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係には影響しない、と整理されます。ただし、個別の案件で協議がまとまる場合や、解決金として調整するケースはあり得ますので、状況に応じて専門家と相談する必要があります。

    解説

    法改正の経緯

    1. 旧民法の規定
      かつての民法では、非嫡出子の相続分は嫡出子の1/2と定められていました。これは「婚姻関係を重視する」という立法趣旨が背景にありましたが、一方で子ども本人には責任がないのに不平等ではないかという批判が強まっていました。
    2. 最高裁の違憲判決(2013年)
      2013年9月に最高裁判所は、非嫡出子の相続分を嫡出子の1/2とする規定が憲法14条(法の下の平等)に違反すると判断。その後、民法改正が行われ、非嫡出子も嫡出子と同等の相続分を有することになりました。
    3. 改正民法の施行
      改正法は2013年12月5日に施行され、それ以降に開始した相続については、非嫡出子も嫡出子と同じ権利が認められています。

    実務への影響

    • 認知の重要性
      非嫡出子が父親(被相続人)の相続に参加するためには、まず法的に親子関係があることを証明しなければなりません。生前の任意認知があればスムーズですが、亡くなる直前や死後に認知を求める裁判が起きることもあります。
    • 戸籍調査の複雑化
      非嫡出子がいるかどうかの判断は、被相続人の戸籍を出生から死亡までさかのぼって調べる必要があります。転籍や改姓などが重なると複数の役所に請求を出すことになるため、手間がかかります。
    • 相続人間の調整が必要
      非嫡出子が突然現れた場合、他の相続人との間で合意が難しくなることがあります。遺産分割協議が難航したら、調停や審判に持ち込まれることも珍しくありません。

    過去の相続への影響

    非嫡出子の相続分が修正された改正法の適用は、平成13年7月1日から同25年9月4日までに相続が開始した事案について、①平成25年9月5日以降に遺産の分割等がされる場合は適用される一方、②平成25年9月4日以前に遺産の分割の審判その他の裁判、遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係には影響しない、と整理されます。

    上記のとおり、遺産分割協議がまだ未了である場合や、相続人同士の合意が得られれば、新基準での分割を行うことも可能です。

    弁護士に相談するメリット

    1. 認知手続き・裁判対応
      非嫡出子が認知を求める場合や、逆に他の相続人が「その子は本当に実子なのか」と争う場合、弁護士は戸籍の精査やDNA鑑定の準備、裁判手続きの進行などをサポートできます。
    2. 相続人間の調整・遺産分割協議
      非嫡出子が相続人として加わると、他の相続人との間で意見対立が生じやすいです。弁護士は法律面から妥当な分割案を提示し、必要に応じて調停・審判の代理人も務めることができます。
    3. 過去の相続の再検討
      遺産分割が終わっているように見えても、非嫡出子の存在が後から判明するケースもあります。弁護士の関与で、和解や追加分配など柔軟な解決策を検討可能です。
    4. 相続税申告や税務リスクの軽減
      遺産分割協議のやり直しや新たな相続人の追加で、相続税の申告内容に修正が必要になる場合があります。弁護士と税理士が連携してスムーズに対応すれば、追加で課される税金やペナルティのリスクを低減できます。

    まとめ

    非嫡出子の相続分を嫡出子と同等に認める法律改正は、社会的にも大きな意味を持ちました。「生まれの違いによって子どもに差別をしてはならない」という考え方が法的にも明確化されたのです。

    • 2013年の最高裁判決とその後の民法改正により、非嫡出子の相続分は嫡出子と同等
    • 非嫡出子が相続に参加するには、認知(または強制認知)が必要

    もし「非嫡出子として相続を主張したい」「亡くなった親が認知してくれなかった」といった場合や、逆に「突如、非嫡出子を名乗る人が現れた」というケースに直面したら、まずは一度弁護士法人長瀬総合法律事務所へご相談ください。法律の視点から的確にサポートいたします。


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    相続欠格事由と廃除手続のポイント

    2025-02-08
    Home » コラム

    はじめに

    相続権は法律上保障された重要な権利ですが、場合によってはその権利を失うことがあります。具体的には、相続欠格や相続人の廃除という制度が存在し、一定の行為を行った者や著しく非行のある者は、法律上または裁判所の判断によって相続権を剥奪される可能性があります。

    本記事では、相続欠格事由と廃除手続の基本をわかりやすく解説します。どのような場合に相続権を失うのか、またその手続きをどのように進めるのかを理解しておきましょう。

    Q&A

    Q1. 相続欠格とは何ですか?

    相続欠格は、法律上定められた重大な事由(遺言書の偽造や被相続人の殺害など)を行った相続人が、自動的に相続資格を失う制度を指します。裁判手続きがなくとも当然に相続権が失われるのが特徴です。

    Q2. 廃除とは何が違うのですか?

    廃除は、被相続人が家庭裁判所に請求して、その相続人の著しい非行を理由に相続権を奪う制度です。相続欠格とは異なり、自動的に適用されるわけではなく、被相続人が生前に申し立てるか、遺言によって廃除を求める場合、死後に遺言執行者が手続きを行います。

    Q3. 相続欠格になる具体的な行為とは?

    民法は以下のような行為を挙げています。

    1. 被相続人や先順位の相続人などを殺害したり、未遂に及んだりすること。
    2. 被相続人を欺いたり脅迫して、遺言書の作成・取消しをさせる(またはさせなかった)行為。
    3. 遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿する行為。
    4. その他、明らかに相続に関する重大な犯罪行為。

    Q4. 廃除の請求が認められる非行とはどの程度ですか?

    具体的には、被相続人に対する虐待や重大な侮辱、その他著しい非行が挙げられます。通常の親子間の口論や些細な対立だけでは認められない場合が多く、裁判所が「著しく不当」と認める程度の事実が必要です。

    Q5. 廃除されたり欠格となった相続人に子どもがいる場合、孫は代襲相続できるのですか?

    相続欠格や相続廃除により、相続資格を喪失する者は当人(相続人)のみであるため、代襲相続には影響しません。

    解説

    相続欠格の効果と手続き

    • 効果
      相続欠格事由に該当する行為があった時点で、相続人としての資格を当然に失います。裁判手続きによる宣言は不要で、法的には欠格者が初めから相続人でなかった扱いとなります。
    • 注意点
      欠格事由があったかどうかについて争いになる場合は、最終的に裁判所の判断を仰ぐことになります。

    相続人の廃除手続き

    1. 被相続人による請求
      • 生前に家庭裁判所へ廃除を請求する。
      • 被相続人の死亡後、遺言で廃除の意思が示されている場合は、遺言執行者が家庭裁判所に請求する。
    2. 廃除が認められる非行
      • 被相続人に対する虐待、侮辱、または著しい非行。
      • 裁判官の裁量が大きく、どの程度で認められるかは具体的事情によります。
    3. 廃除が認められた後
      • その相続人は法律上相続権を失い、欠格と同様に初めから相続人でなかった扱いとなります。

    欠格・廃除後の代襲相続

    • 代襲相続の可否
      相続欠格または廃除された人の子ども(孫)が「代襲相続できるか」が問題になります。相続欠格や相続廃除により、相続資格を喪失する者は当人(相続人)のみであるため、代襲相続には影響しません。

    実務上の注意点

    • 犯罪行為の立証
      被相続人を殺害、遺言書を偽造・破棄したといった犯罪行為は、刑事裁判での有罪判決や明確な証拠が必要な場合があります。
    • 遺言執行者の手続き
      死後の廃除は遺言書で「○○を廃除する」旨が書かれていても、当然に成立するわけではなく、遺言執行者が家庭裁判所で手続きを行う必要があります。
    • 和解・撤回の可能性
      廃除請求の途中や裁判後でも、被相続人が生存中に撤回を申し立てることができます。関係修復などで廃除を取り下げるケースもあり得ます。

    弁護士に相談するメリット

    1. 欠格事由や廃除の要件の正確な理解
      どの程度の非行が廃除に該当するのか、欠格事由をどう立証するのかなど、法律的に難しい判断を弁護士がサポートできます。
    2. 証拠収集・手続き代行
      相続欠格に関する争いや廃除手続きでは、家庭裁判所の審判や裁判手続きも検討することになります。弁護士が証拠の収集から書類の作成、裁判所対応まで一貫してサポートし、依頼者の負担を減らします。
    3. 紛争の予防と早期解決
      欠格・廃除に関する争いは感情的な対立に発展しやすい領域です。弁護士が間に入ることで、当事者同士の感情的対立を緩和し、より円滑に解決へと導きます。
    4. 廃除撤回や和解案のアドバイス
      親子間・親族間で歩み寄りが可能な場合、法的手続き以外の和解案を提案し、修復の道を探ることも可能です。

    まとめ

    相続人としての資格は絶対ではなく、一定の行為(殺害や遺言書の破棄など)を行ったり、著しい非行がある場合には、法律や裁判所の手続きによって相続人としての地位を失うことがあります。

    • 相続欠格
      法律で定められた重大行為に該当すれば、裁判手続は不要で相続権剥奪。
    • 廃除
      被相続人の請求によって家庭裁判所が判断。著しい非行等が対象。

    いずれの場合も、相続権が認められないという深刻な影響をもたらします。こうした手続きは家族間の対立を生むリスクが高いので、実際に検討する際は慎重に進める必要があります。不安や疑問があれば、一度弁護士法人長瀬総合法律事務所へご相談ください。


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    相続人の特定が困難な場合の対策

    2025-02-07
    Home » コラム

    はじめに

    相続が発生したとき、スムーズに手続きを進めるためには、すべての相続人を正確に特定することが不可欠です。ところが、家系が複雑であったり、長らく連絡を取っていない親族がいる、あるいは養子縁組や認知など過去に把握しきれていない事実がある場合、相続人の特定が意外と難航することがあります。

    相続人がひとりでも特定できないままだと、遺産分割協議が成立しないという大きな問題が生じるため、早期に対策を打つことが重要です。本記事では、相続人の特定が困難なケースでどのように調査すればいいのか、その具体的な方法と注意点を解説します。

    Q&A

    Q1. 相続人を特定しないとどんな不都合があるのですか?

    遺産分割協議には相続人全員の合意が必要です。ひとりでも相続人が参加していないと協議は無効になってしまいます。また、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しも進められません。

    Q2. 相続人の調査はどうやって進めればいいの?

    一般的には、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍をすべて取得し、婚姻歴・子どもの有無などを丹念にチェックします。場合によっては養子縁組や離婚歴なども含め、関連する戸籍を広範囲に集めます。

    Q3. まったく行方のわからない相続人がいる場合はどうする?

    長期失踪などで所在が不明な相続人は、家庭裁判所に「不在者財産管理人の選任」を申し立てるか、「失踪宣告」を検討する手があります。後述するように、これらの制度を活用することで遺産分割協議を進められる場合があります。

    Q4. 海外に相続人がいる場合は?

    海外に居住する相続人にも通知や戸籍に類する証明の取得が必要になります。言語の問題や現地の法制度が絡むため、弁護士や専門家のサポートが重要です。

    解説

    戸籍調査の重要性

    • 出生から死亡までの連続した戸籍
      被相続人の本籍が転籍されていることもあるため、転籍先・転籍元を追う形で、時系列順にすべての戸籍を集めます。これにより、婚姻歴、離婚歴、子の認知、養子縁組の有無などが判明します。
    • 兄弟姉妹や直系尊属もチェック
      子どもがいない場合は、親(直系尊属)や兄弟姉妹が相続人となる可能性があるため、被相続人だけでなく、両親や兄弟姉妹の戸籍も調べる必要があります。

    行方不明者がいるケース

    • 不在者財産管理人の選任
      行方不明の相続人がいるときは、家庭裁判所に申し立てることで「不在者財産管理人」が選任されます。この管理人が行方不明の相続人の代わりに遺産分割協議に参加できる場合があります。
    • 失踪宣告
      長期間行方不明(7年間)になるなど、失踪宣告の要件を満たせば、家庭裁判所に失踪宣告を求めて死亡したものとみなす手続きが可能です。相続人が死亡扱いとなり、その方の相続人がさらに発生するなど、複雑なパターンも生じうるため注意が必要です。

    海外居住者がいるケース

    • 在留証明やパスポートの確認
      海外に住んでいる相続人の所在確認や連絡手段を確保し、相続手続きの意思表示を正式に行う必要があります。書類は大使館・領事館での認証が必要となることもあります。
    • 遺産分割協議書への署名・押印
      協議書を郵送して海外で署名・押印をしてもらう場合、公証役場や在外公館による認証が必要となる場合もあるため、慎重に進めましょう。

    専門家を交えた調査・協議

    • 戸籍取り寄せに不慣れ
      多くの戸籍を取り寄せる作業は複雑で、慣れないと抜け漏れが発生しやすいです。弁護士や司法書士に依頼すると効率的かつ確実に進められます。
    • 弁護士が代理して交渉・調停
      相続人の一部が他県や海外に在住している場合でも、弁護士が代理人となってスムーズに調整を行えます。

    弁護士に相談するメリット

    1. 戸籍調査の専門ノウハウ
      不足のない戸籍収集、書類の読み解き、加えて戸籍がそろったかどうかの精査など、専門知識をフル活用して相続人の特定を正確に行います。
    2. 行方不明者対応
      不在者財産管理人の選任や失踪宣告手続きなど、家庭裁判所への申し立てには法的な手順が不可欠です。弁護士が手続きを代行できるため、負担が軽減されます。
    3. 紛争時の早期解決
      相続人間で意見が対立し始めても、弁護士の調整や家庭裁判所での調停を利用し、裁判に至らないレベルで解決を図ることができます。

    まとめ

    相続人を正しく特定できなければ、遺産分割協議が進められないだけでなく、不動産や預貯金の手続きも滞り、大きな時間的・経済的な損失を招きかねません。

    • 被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集し、婚姻歴・子どもの有無・養子縁組を徹底チェック。
    • 行方不明の相続人がいる場合は、不在者財産管理人や失踪宣告などの制度を活用。

    上記のようなステップをスムーズに進めるためには、専門家の力が不可欠です。状況が複雑なときほど、早めに弁護士法人長瀬総合法律事務所にご相談ください。戸籍調査や行方不明者対応まで含めて、円滑な相続解決を目指します。


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    養子縁組と相続人の関係

    2025-02-06
    Home » コラム

    はじめに

    「血のつながりがない人でも、養子にすれば相続人にできるのか?」
    「実子がいるのに、あえて養子縁組をするメリットは?」

    養子縁組は、単に親子関係を構築するだけでなく、相続においても重要な意味を持つ制度です。とくに高齢者の方が「子どもがいない」「後継者がいない」などの理由で養子縁組を行うケースが増えています。

    本記事では、養子縁組によって相続人がどのように変わるのか、また実子との違いはあるのかなど、養子縁組と相続人の関係について詳しく解説します。

    Q&A

    Q1. 養子は本当に実子と同じ相続分を持つのですか?

    はい、養子の相続分は実子と同等です。かつては非嫡出子(婚外子)については相続分が異なる扱いがありましたが、養子については昔から実子と同等とされています。

    Q2. 特別養子縁組と普通養子縁組の違いは?

    特別養子縁組は、実親との親子関係が完全に断絶するのが大きな特徴です。一方、普通養子縁組は、実親との関係が断絶せず、新たな養親との親子関係が併存する形になります。相続においては、普通養子は実親と養親の両方から相続が発生する可能性があります。

    Q3. 養子縁組によって相続税対策ができるって本当?

    一般的に、養子が増えれば法定相続人の数が増加し、死亡保険金や基礎控除の計算上有利になる場合があります。ただし、過度な養子縁組は税務上の問題を指摘される可能性もあるため、慎重な検討が必要です。

    Q4. 結婚相手の連れ子を養子にした場合、相続上どのような影響がありますか?

    連れ子を自分の養子とすれば、法律上の親子関係が成立し、その子はあなたの相続人になります。連れ子が実父や実母と関係を維持している場合でも、普通養子縁組なら実親との関係は継続するため、連れ子は実親・養親どちらからも相続可能となる場合があります。

    Q5. 養子を途中で離縁した場合、その後の相続権はどうなる?

    離縁すると、法律上の親子関係は原則消滅します。そのため、離縁後は相続人にはなりません。ただし、離縁の種類によっては一部の法的効果が残るケースがあるため、注意が必要です。

    解説

    普通養子縁組と特別養子縁組

    1. 普通養子縁組
      • 実親との親子関係は消滅しない。
      • 養親との間に新たに親子関係が成立し、戸籍上にも親子として記載される。
      • 相続上、実親・養親両方の相続人になる可能性がある。
    2. 特別養子縁組
      • 原則として実親との親子関係が消滅。
      • 養親側との親子関係のみが法的に有効。
      • 養子が幼少期に行われることが多く、実親からの虐待や放棄などが要件となる。

    養子の相続分

    • 実子と同等
      養子は民法上、「血のつながりがない」という理由で差別的な扱いを受けないと定められています。養子縁組が成立すると、実子と同じ相続順位・相続分を有します。
    • 相続人の数が増える可能性
      普通養子であれば、実親の相続にも関係するので、相続人の範囲が拡大する場合があります。

    相続税への影響

    1. 基礎控除額の拡大
      相続税では「3000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があります。養子が増えると法定相続人の数が増え、結果として控除額が大きくなる可能性があります。
    2. 生命保険金の非課税枠
      生命保険金にも「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があるため、同様に養子が増えると非課税枠が拡大します。
    3. 税務上の制限
      過度な養子縁組が行われていると、税務署から「租税回避目的ではないか」と疑われるリスクがあります。法律上は、被相続人に実子がいる場合、養子として計算に入れられるのは最大1人までとされるなど、一部制限がある点に注意が必要です。

    養子縁組の注意点

    • 養子縁組の動機
      真に親子関係を望むケースと、単に相続税対策だけが目的のケースでは、手続きや実情に差が出ます。不適切な縁組は後々のトラブルを招きかねません。
    • 親族間の理解
      実子がいる家庭で新たに養子を迎える場合、ほかの相続人との間で不公平感が生まれる可能性があるため、事前に丁寧な説明を行うことが望まれます。
    • 後見人・保護者の同意
      未成年者を養子にする場合、実親や後見人、家庭裁判所の許可が必要となるケースがあります。

    弁護士に相談するメリット

    1. 養子縁組の法的要件を正確に把握
      養子縁組には厳格な手続きが求められ、戸籍届出や同意書、裁判所の許可(特別養子縁組)などの手続きが複雑です。弁護士のサポートでミスを防ぎやすくなります。
    2. 相続税対策の適法性のチェック
      養子縁組による相続税軽減は、一定の条件下で有効ですが、過度な縁組は否認される可能性があります。弁護士や税理士と連携し、適正なスキームを検討できます。
    3. 家族内トラブルの回避策
      実子との関係や親戚との関係を調整するには、第三者的な専門家が間に入るのが有効です。法的視点と感情面の双方に配慮したサポートが期待できます。
    4. 相続トラブル発生時の早期解決
      養子の有無や相続分をめぐって紛争が生じたとき、弁護士が代理となって話し合いを進め、早期解決を図ることが可能です。

    まとめ

    養子縁組は、血縁に依らない親子関係を築く重要な制度であり、相続上の効果も大きいです。普通養子縁組の場合、実親と養親の両方から相続権を得られるため、相続の範囲が広がる一方で、相続人が増えることによるトラブルの可能性も否定できません。

    また、相続税対策として養子縁組を利用する場面もありますが、税務当局からの厳しい目も存在するため、適法な範囲で計画することが求められます。

    養子縁組を検討している方は、「本当に縁組が必要なのか」「相続上どんなメリット・デメリットがあるのか」を慎重に見極めることが大切です。具体的な手続きやリスクについて不明な点があれば、ぜひ弁護士法人長瀬総合法律事務所にご相談ください。


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    配偶者の相続権と相続割合

    2025-02-05
    Home » コラム

    はじめに

    相続では、配偶者が常に相続人になるという特別な地位が法律で定められています。結婚は単なるパートナーシップではなく、法律上の戸籍関係を生じさせる重要な制度であり、配偶者には他の相続人とは異なる特有の優遇が与えられているのです。

    しかし、「配偶者だからどんな場合も自由に財産を引き継げる」というわけではありません。たとえば、子どもがいるとき・いないとき、あるいは親や兄弟姉妹が相続人になる場合などで、配偶者の取り分は変動します。

    本記事では、配偶者の相続権と相続割合を中心に、具体的な事例や留意点を交えながら解説します。

    Q&A

    Q1. 法律上の配偶者とは?

    民法上の婚姻関係(戸籍上の結婚届)が成立している相手のことです。内縁や事実婚、同性パートナーシップは、法律上の「配偶者」には含まれないため注意が必要です。

    Q2. 配偶者は常に相続人になるのですか?

    はい、民法の規定で常に相続人となります。被相続人が子を持っているかどうか、あるいは親や兄弟姉妹が存命かどうかに関係なく、配偶者は必ず相続人となります。

    Q3. 配偶者の相続分はどのように決まりますか?

    法定相続分として、下記のように定められています。

    • 子がいる場合:配偶者1/2、子の合計1/2
    • 直系尊属(親)がいる場合:配偶者2/3、直系尊属1/3
    • 兄弟姉妹がいる場合:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

    Q4. 財産をすべて配偶者に譲ることはできないの?

    生前に遺言書で配偶者にすべて譲る旨を記載することは可能ですが、遺留分の問題が生じる場合があります。子や直系尊属には遺留分が認められるので、法律上最低限の取り分を請求されるリスクがあるのです。

    Q5. 別居中や離婚調停中の場合でも配偶者は相続人ですか?

    法律上まだ婚姻関係が継続しているならば、実質的に離婚状態でも配偶者として相続権を有します。正式に離婚が成立していない限り、相続発生時には相続人になる点に注意が必要です。

    解説

    配偶者の相続割合

    1)配偶者と子が相続人の場合

    • 配偶者の相続分:1/2
    • 子の相続分:1/2(子が複数いる場合は1/2を等分)

    2)配偶者と直系尊属(親)が相続人の場合

    • 配偶者の相続分:2/3
    • 直系尊属の相続分:1/3(親が複数人いる場合は1/3を等分)

    3)配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合

    • 配偶者の相続分:3/4
    • 兄弟姉妹の相続分:1/4(兄弟姉妹が複数なら1/4を等分)

    配偶者短期居住権・配偶者居住権

    • 配偶者短期居住権
      2020年(令和2年)の相続法改正で新たに設けられた制度で、相続開始後、一定の期間は配偶者が引き続きその住居に居住できる権利です。
    • 配偶者居住権
      配偶者が亡くなった夫(妻)の持ち家に住み続けられるようにするための権利。財産を分配する際、不動産の評価額を抑えつつ、配偶者が住む家を確保できるメリットがあります。

    相続税の軽減措置

    • 配偶者に対する相続税の軽減
      一定の要件を満たせば、配偶者が取得した財産について相続税が大幅に減額される(もしくは実質ゼロになる)制度があります。具体的には「配偶者の法定相続分」または「1億6千万円」のいずれか大きい方まで、相続税がかからないという取り扱いです。

    内縁・事実婚の配偶者問題

    • 内縁関係では相続権なし
      いくら長年生活を共にしていても、法律上は「婚姻していない」ため、法定相続人とはなりません。生前贈与や遺贈の活用が重要となるケースです。
    • 遺言書の活用
      内縁のパートナーに財産を残したい場合には、遺言書作成が必要となります。

    配偶者が相続放棄する場合

    • 放棄のメリット・デメリット
      被相続人に多額の債務がある場合、配偶者が相続放棄を選ぶこともあり得ます。しかし、放棄するとプラスの財産も受け取れないため、慎重な判断が必要です。
    • 家庭裁判所での手続き
      相続放棄は相続開始を知った時から3カ月以内に家庭裁判所に申述します。

    弁護士に相談するメリット

    1. 相続分に応じた適切な遺産分割案の作成
      配偶者には特別な権利や税制上の優遇が存在しますが、他の相続人との兼ね合いで円満に解決するには、法的知識に基づく調整が必要です。弁護士が仲介することで合意形成をスムーズに進められます。
    2. 配偶者居住権の設定・活用
      住宅に引き続き住む意思が強い配偶者にとっては、配偶者居住権をどのように設定するかが重要です。登記手続きや評価額の調整を含め、専門家の助言があると安心です。
    3. 相続放棄や限定承認のサポート
      遺産のマイナス面が大きい場合、放棄や限定承認などの手続きを検討する必要があります。弁護士なら、リスクを総合的に評価してアドバイスを提供できます。
    4. 遺言書の作成支援
      生前に「配偶者にどの程度財産を残すか」を決めておきたい場合、弁護士を通じて法的に有効かつ無用なトラブルを招かない遺言書を作成できます。

    まとめ

    配偶者は法律上、常に相続人として優遇された地位にありますが、「絶対にすべての財産を自動的に獲得できる」わけではありません。

    • 子どもがいる場合は1/2
    • 親がいる場合は2/3
    • 兄弟姉妹がいる場合は3/4

    上記の法定相続分をベースに、場合によっては遺留分や配偶者居住権、相続税軽減制度などさまざまな法律上の権利・制度が絡んできます。

    家族構成や財産状況によって、配偶者の取り分をめぐるトラブルも起きやすいため、不安があれば早めに専門家へ相談しましょう。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、配偶者側・他の相続人側どちらの立場でも、法的な視点から最適な解決を目指すお手伝いをいたします。


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    遺言書が見つからない場合の対処法

    2025-02-03
    Home » コラム

    はじめに

    「亡くなった親族が遺言書を書いていたかもしれないのに、どこを探しても見つからない」――実務でよくある相談のひとつです。
    遺言書が見つからない場合、相続人同士で情報を持ち寄って探すことから始めるのが一般的ですが、それでも見つからないケースは少なくありません。そうなると、「本当に遺言書は存在しなかったのか?」それとも「誰かが隠しているのか?」など、疑心暗鬼になって相続トラブルに発展することもあります。

    本記事では、遺言書が見つからない場合の具体的な対処法や、探す際のヒント、また遺言書がない場合の相続の進め方について解説します。

    Q&A

    遺言書が本当にあるかどうかを確かめる手段は?

    まず、遺言者が法務局の遺言書保管制度を利用していたかを確認します。利用していれば、法務局で保管されている可能性があります。また、公正証書遺言の場合は公証役場のデータベースで検索が可能です。

    親族が故意に遺言書を隠している可能性がある場合はどうすれば?

    相続人全員でよく話し合い、「どこに保管されている可能性があるのか」を洗い出しましょう。悪意ある隠匿が疑われる場合には、専門家に相談のうえで民事上の手続きや調停などを検討することもあります。

    遺言書が見つからない場合、どうやって相続手続を進めるの?

    遺言書がない場合は、原則として法定相続に基づいて遺産分割を行います。相続人全員で遺産分割協議を行い、合意に至れば遺産分割協議書を作成して各種手続きを進めます。もし話がまとまらなければ、調停や審判に移行することもあります。

    遺言書が後になって見つかったらどうなる?

    遺言書の内容が有効なら、後から発見された遺言書に基づき相続をやり直す必要があります。ただし、新たに発見された遺言書と既に執行されていた遺言書が矛盾する場合など、法的整理が必要となり、トラブルに発展することがあります。

    解説

    遺言書を探す手順

    1. 自宅の金庫・机・書斎などの徹底捜索
      貴重品を保管している場所や日記帳、手紙などの近くを調べます。
    2. 銀行の貸金庫の有無
      貸金庫を借りている場合、そこに遺言書を保管していた可能性があります。
    3. 法務局の遺言書保管制度の検索
      遺言者が生前に保管制度を利用していれば、所定の手続きで検索できます。
    4. 公正証書遺言の有無確認
      全国の公証役場で管理されているデータベースで確認可能です。

    遺言書が見つからなかったときの対応

    • 法定相続による遺産分割
      遺言書がなければ、相続人全員の協議により分割割合を決めます。法律上の相続順位や相続分に従う形が基本。
    • 協議がまとまらない場合
      家庭裁判所での調停や審判を利用します。

    隠匿を疑う場合の注意点

    • 悪意ある隠匿は相続欠格の可能性
      もし相続人が故意に遺言書を破棄・隠匿した場合、それを理由として相続欠格に該当することがあります。ただし、故意を立証するのは容易ではありません。
    • 証拠を確保する
      遺言書があった可能性を示すメモや証言などを集め、専門家に相談することで、家庭裁判所や調停委員を説得できる場合があります。

    トラブル回避のためにできること

    • 生前の段階で保管場所を明示しておく
      遺言者自身が、信頼できる家族や専門家に「遺言書はここに保管している」と伝えておく。
    • 公正証書遺言を選択する
      紛失リスクを根本的に排除でき、公証役場にデータが残るため、「書いたはずなのに見つからない」という状況を防ぎやすい。
    • 弁護士に依頼し、遺言執行者を指定しておく
      遺言執行者が弁護士であれば、保管含めて管理を任せられ、相続人間の争いを予防しやすくなります。

    弁護士に相談するメリット

    1. 法務局や公証役場への照会手続き
      弁護士が代理人として照会を行うことで、スムーズに遺言書の有無を確認できます。
    2. 隠匿が疑われる場合の対応
      疑惑だけで動くのはリスクが高いので、弁護士の助言のもと、証拠を整理しながら適切な手続きを検討します。
    3. 遺産分割協議のサポート
      遺言書がない場合でも、弁護士が間に入って協議を行うことで、相続人同士の衝突を和らげ、短期間での合意形成が期待できます。
    4. 後から見つかった遺言書の有効性判断
      新たに発見された遺言書が本当に有効かどうか、形式不備や筆跡などの問題をチェックし、争いを最小限にする方策を提案します。

    まとめ

    遺言書が見つからないと、相続人全員が困惑し、時には不信感を抱くことにもつながります。しかし、以下のポイントを押さえておけば、対応を進めやすくなるでしょう。

    1. まずは法務局保管制度や公正証書データベースを確認
    2. 自宅や貸金庫など、思い当たる場所を入念に探す
    3. 見つからなければ、法定相続に基づき協議を行う
    4. 隠匿が疑われる場合は証拠を集め、弁護士に相談

    遺言書がないことで大きなトラブルに発展する前に、弁護士法人長瀬総合法律事務所へご相談ください。早期に正しい手順を踏めば、相続人同士の感情的対立を和らげ、スムーズな相続手続きにつなげられます。

    相続に関する留意点を動画でも詳しく解説しています。短い時間で要点を把握できるので、ぜひご視聴ください。


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    遺言書作成でよくある質問と回答

    2025-02-02
    Home » コラム

    はじめに

    遺言書は、誰しもが気軽に作成できるわけではなく、いざ考え始めると疑問が次々に浮かんできます。「自分に万が一のことがあった時、家族がどうなるか」は非常にデリケートな問題であり、悩みや不安を抱える方も多いでしょう。

    本記事では、遺言書作成に関してよくある質問をピックアップし、その回答を分かりやすく解説します。特に初めて遺言書を作ろうとする方や、過去に作ったきりで放置している方にとって、有益な情報を幅広くまとめています。ぜひ参考にして、円滑な相続対策を行ってください。

    Q&A

    遺言書はいつ作ればいいでしょうか?

    遺言書は法律上15歳から作成できますが、実際には「体調が安定しているうちに」作成するのがおすすめです。認知症などで意思能力を失うと、遺言が作れなくなる場合があります。大きな財産変動や家族構成の変化があったら、その都度見直すと良いでしょう。

    遺言書を作りたいのですが、親族が反対しています。どうすればよいでしょうか?

    遺言書は本来、個人の自由な意思表示に基づいて作成するものです。親族の反対があっても作成自体は可能ですが、後々のトラブルを防ぎたいなら、弁護士などの第三者を交えて説明し、理解を得る努力をすることが望ましいです。

    不動産と預金以外に、どんなことを遺言で指定できますか?

    遺言書では財産の分配だけでなく、推定相続人の廃除や認知、後見人の指定、祭祀主宰者の指定など、法律で定められた事項を定めることもできます。動産や著作権などの知的財産も対象に含めることが可能です。

    秘密証書遺言はどういう場面で使うのでしょうか?

    秘密証書遺言は、遺言の内容を第三者に知られたくない場合に利用されます。ただし、公証人は内容を確認しないため、書式不備のチェックがされないというデメリットも。実務では、自筆証書や公正証書が主流となっています。

    遺言書の保管はどうしたらよいでしょうか?

    自筆証書遺言の場合、法務局の遺言書保管制度を使うと検認手続きが不要になり便利です。公正証書遺言は公証役場に原本が保管されるため、紛失や改ざんのリスクがほぼありません。どちらにしても、遺言者自身が保管する場合は場所を明確にしておき、信頼できる人に伝えておくと安心です。

    解説

    Q&Aのポイント

    1. 作成時期の重要性
      遺言書は「いつか作ろう」と先延ばしにされがちですが、認知機能が衰えてからでは遺言能力が問題となり、法的に無効とみなされることもあります。早め早めに準備するのが理想です。
    2. 財産以外も遺言に書ける
      「相続」と聞くと不動産や預金を思い浮かべがちですが、廃除や認知といった非財産的な項目を定めるのも大切です。とくに未成年の子どもがいる場合などは、後見人の指定を考慮しなければなりません。
    3. 遺言内容への家族の納得
      遺言はあくまで本人の意思ですが、事前に家族の理解を得ておくことが将来のトラブル防止に効果的です。全員が完全に納得しなくても、最低限の説明をしておくだけで紛争リスクは下がります。

    遺言の形式ごとの特徴

    • 自筆証書遺言:手軽だが方式不備や紛失リスクあり。保管制度の活用で多少改善。
    • 公正証書遺言:費用がかかるが確実性が高い。公証役場で原本保管されるため安心。
    • 秘密証書遺言:内容を秘密にできるが、実務では利用が少なく、形式不備リスクが残る。

    定期的な見直しの必要性

    • 家族構成や財産状況の変化
      結婚、離婚、子どもの誕生、相続人の死亡、財産の増減など、大きな変化があれば遺言内容の再検討が必要です。
    • 法改正への対応
      相続法は定期的に改正が行われます。たとえば遺留分制度や相続登記義務化など、影響を受ける制度変更があれば、遺言書を修正したほうが安全です。

    弁護士に相談するメリット

    1. 疑問点をすぐに解消できる
      遺言書作成で悩むポイントは人によって違います。弁護士は個別事情に合わせた回答を提供できるため、書籍やネット情報では得られない安心感を得られます。
    2. 正確な書式・内容で作成できる
      遺言書は形式に厳格なルールがあり、ほんの小さな記載ミスでも無効となるリスクがあります。弁護士のチェックを受ければ、こうしたリスクを最小化できます。
    3. 家族間トラブルの回避策
      弁護士は豊富な事例や判例に基づいて、将来的に起こり得る争いを想定し、防ぐための条項設計やアドバイスを行います。
    4. 必要書類の収集や保管制度の手続きもサポート
      忙しい方や書類の準備が苦手な方でも、弁護士がサポートすることでスムーズに作業を進められます。

    まとめ

    遺言書作成に関しては、「いつ、どうやって作ればいいのか」から「どんな形式が適しているのか」まで、多くの疑問が出るのが普通です。今回取り上げたQ&Aを通じて、少しでも不安や疑問が解消されれば幸いです。

    • 時期を逃さず、早めに作成するのがベター
    • 形式ごとの特徴とメリット・デメリットを理解する
    • 家族の理解を得る努力も有効
    • 必要に応じて弁護士等の専門家へ相談し、不備なく作るのが安心

    「自分の場合はどうすればいいの?」という疑問があれば、ぜひ弁護士法人長瀬総合法律事務所へご相談ください。個別の状況に即したアドバイスを行い、将来の相続が円満に進むようサポートいたします。


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    【動画】【公正証書遺言】弁護士が解説するメリットと手続き|確実な遺言書の選び方

    2025-02-01
    Home » コラム

    今回公開した動画はこちら

    公正証書遺言」を作成するメリットと具体的な手続きについて、弁護士がわかりやすく解説します。
    公正証書遺言は、紛失や形式不備のリスクが少なく、確実に想いを残せる方法です。

    💡この動画でわかること
    ・公正証書遺言の特徴とメリット
    ・費用や作成手続きの流れ
    ・証人や必要書類について
    ・高齢や病気で公証役場に行けない場合の対処法
    ・弁護士に相談することで得られる安心感

    確実性を重視する方におすすめの遺言方式について、ぜひ最後までご覧ください!

    動画の内容

    視聴時間:約10分

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    遺言書作成の際に弁護士に依頼するメリット

    2025-02-01
    Home » コラム

    はじめに

    遺言書は個人で作成することも可能ですが、弁護士に依頼して作成するメリットは数多く存在します。とくに相続財産が多岐にわたる場合や、家族構成が複雑なケースでは、専門的な視点からのアドバイスが欠かせません。

    「自分で書けるなら、そのほうが安上がりでは?」と思われる方も少なくないでしょう。確かに自筆証書遺言であれば基本的に手数料はかからず、費用面では魅力的です。しかし、その分だけ無効リスクや相続人同士のトラブルなど、将来的に大きな負担となる可能性があります。

    本記事では、遺言書作成において弁護士を利用するメリットを解説します。費用対効果や将来のリスクヘッジを考慮し、より安心な方法を選ぶための参考にしてください。

    Q&A

    弁護士に依頼すると費用が高くなりませんか?

    専門家に依頼する以上、報酬は発生します。しかし、後々の相続トラブルや無効リスクを最小限に抑えられることを考えると、結果的にコストパフォーマンスが良いケースは少なくありません。

    弁護士と公証人の違いは何でしょう?

    公証人は公正証書遺言を作成するときに関与し、法律で定められた「公文書」を作成する立場です。一方で、弁護士は依頼者に対して幅広い法律相談・代理活動を行うことができ、内容の有効性や紛争予防のためのアドバイスを提供します。両者は役割が異なるため、必要に応じて使い分けるか、連携して進めることが望ましいです。

    どのような場合に弁護士を利用すべきですか?

    下記のような場合に特におすすめです。

    • 相続財産が高額または複雑(不動産が複数、事業用資産、株式など)
    • 相続人間の関係が良好とは言えず、将来トラブルが想定される
    • 遺留分をめぐる争いや特別受益・寄与分など、法律概念が入り組む可能性が高い場合

    弁護士に依頼すると、すべての手続きを任せられますか?

    はい、基本的には遺言書の文案作成から公証役場とのやり取り、証人の手配、必要書類の収集まで任せられます。必要に応じて税理士や司法書士と連携したサポートも可能です。

    解説

    弁護士に依頼するメリット

    1. 法的に無効とならない遺言書を作成できる
      遺言書には厳格な方式が定められており、形式不備ひとつで無効になり得ます。弁護士のチェックを受けることで、このリスクが大幅に減少します。
    2. 将来の相続トラブルを防ぐ
      遺言内容に不公平感があると、相続人間で争いが起きやすくなります。弁護士は遺留分などの法律的観点から、争いを回避する工夫を提案できるため、家族の和を保つ上でも役立ちます。
    3. 財産整理や必要書類の収集がスムーズ
      不動産登記や預貯金の手続きなど、相続が発生すると煩雑な事務作業が多くなります。弁護士がいれば、死亡後の執行手続きを見据えた書類準備や手続きの手順を整えやすいでしょう。
    4. 遺言執行者の指定や就任も期待できる
      遺言執行者とは、遺言内容を具体的に実行する人です。弁護士を遺言執行者に指定することで、相続人間の公平性が担保され、実務手続きも円滑に進められます。

    公正証書遺言を弁護士と作成するメリット

    • 公証役場との連携がスムーズ
      弁護士が代理人として公証人と打合せを進め、正確な遺言内容をスピーディに形にできます。
    • 証人手配
      公正証書遺言には証人2名が必要ですが、弁護士事務所で手配可能な場合もあり、安心して任せられます。
    • 不測の事態や修正にも柔軟に対応
      打合せの過程で財産目録に漏れや間違いが判明した場合、弁護士が法的観点から即座に修正を行い、無効リスクを回避します。

    自筆証書遺言でのサポート

    • 遺言書の文面チェック
      弁護士に草案を見てもらい、形式要件を満たすよう補正してもらう。
    • 保管制度の利用手続き支援
      法務局への保管申請書類作成や、必要書類の取得等をサポートしてもらうことで、手間を大幅に削減。
    • 追記・書き換えのアドバイス
      家族構成や財産状況が変化したとき、どのように遺言を更新すればよいかを随時相談できる。

    弁護士に依頼するメリット

    1. 法的安心感
      不備による無効リスクが激減する。
    2. 紛争防止・リスクヘッジ
      遺留分対策や不公平感の是正など、後に起こり得る争いを回避できる。
    3. 手続き簡略化
      必要書類の収集や公証役場との打ち合せ、証人手配などを任せられる。
    4. 複雑な事案でも安心
      事業承継、不動産が多いケース、税務に絡む問題などを総合的にサポート。

    まとめ

    遺言書は「自分だけで作れる」と思いがちですが、それはあくまで形式的に可能というだけです。現実には、方式不備や公平性の欠如などが原因で、せっかく書いた遺言書が無効や大きな争いの火種になるリスクがあります。

    • 弁護士と相談・連携すれば、形式不備を防ぎ、遺言書の内容が法的にしっかり守られるよう最適化することが可能です。
    • 費用はかかるものの、将来のトラブルを避けるための「保険」だと考えると、メリットは大きいでしょう。

    「どこまで専門家に任せるべきか」「公正証書と自筆証書、どちらにすべきか」など、迷う点も多いと思います。そんなときは、まずは弁護士法人長瀬総合法律事務所へお気軽にご相談ください。丁寧にヒアリングを行い、ご家族の将来にとって最善のご提案をさせていただきます。


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    弁護士を活用した遺言書作成の流れや、実際のサポート内容について、動画でも解説しています。文字情報だけではイメージしづらい部分も、実例を交えて紹介していますので、ぜひご覧ください。


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    遺言書作成に必要な費用と相場

    2025-01-31
    Home » コラム

    はじめに

    「遺言書を作成したいけれど、費用はどれくらいかかるのだろう?」作成を検討するにあたって、多くの方が最初に気になるポイントかもしれません。実は遺言書の形式によって、必要となるコストは大きく異なります。

    • 自筆証書遺言は費用を抑えられるが、無効リスクに注意
    • 公正証書遺言は費用がかかるが、形式不備や紛失リスクが低い

    また、弁護士に相談する費用を含めるかどうかなど、状況に応じて選択肢はさまざまです。本記事では、遺言書作成にかかる主な費用項目や、それぞれの相場感について解説します。事前におおまかな金額を把握しておけば、予算に合わせてどの方式を選ぶべきか検討しやすくなるでしょう。

    Q&A

    自筆証書遺言の費用は本当にゼロ円で済むのですか?

    用紙やペンなどの文房具代を除くと、法的な手数料はかかりません。ただし、保管場所をどうするかによっては遺言書保管制度の費用が発生します。現在、遺言書保管制度の手数料は1通あたり3900円となっています。

    公正証書遺言を作る場合、どのくらいの費用が必要ですか?

    公証役場への手数料は、遺産総額や目的財産の評価によって異なります。たとえば遺産総額が1000万円程度であれば数万円、1億円を超えると十万円以上になることもあります。証人2名が必要で、自分で用意できない場合は法律事務所当に依頼することもあるでしょう。

    弁護士への依頼費用の目安は?

    相続財産の規模や難易度によって変わります。一般的には、遺言書作成サポートで10万円前後~数十万円程度の報酬を設定している事務所が多いです。公正証書遺言を作る場合には、公証人手数料や戸籍謄本などの取得費用も加わるため、トータルの費用を相談時に確認すると良いでしょう。

    公正証書遺言と弁護士への依頼、両方とも行う必要はありますか?

    公正証書遺言を作る場合、弁護士に依頼するか否かは任意です。しかし、内容に争いが生じやすい場合や財産構成が複雑な場合は、弁護士のチェックを受けておくほうが安全です。

    解説

    自筆証書遺言に必要な費用

    1. 文房具代
      ほぼゼロに近いので、費用としては考慮しなくてもよいでしょう。
    2. 遺言書保管制度の利用
      1通あたり3900円。法務局にて保管申請するための手数料です。
    3. 弁護士や専門家への相談料(任意)
      自筆証書遺言でも専門家に文章チェックを依頼すれば、その分の費用が発生します。

    公正証書遺言に必要な費用

    1. 公証人手数料
      遺産の総額に応じて変動します。
      • 例えば:遺産総額1000万円の場合 → 数万円程度
      • 大きな財産(数億円規模など)の場合 →10万円以上になることもあり
    2. 戸籍謄本や固定資産税評価証明書などの取得費
      数百円~数千円規模ですが、財産内容によっては複数の書類が必要になります。
    3. 弁護士への報酬(任意)
      遺言書の内容に関してアドバイスを受けたり、手続きを代理してもらう場合に発生する費用です。相続財産の金額や難易度によって変わります。

    弁護士に依頼する場合の費用相場

    • 相談料
      30分あたり5000円~1万円程度を設定している事務所が多いですが、初回無料相談を実施している事務所もあります。
    • 作成サポート料
      財産規模が大きい・作業量が増える場合は数十万円になることもあります。
    • 公正証書遺言の立ち合い
      公証役場との打合せや証人手配など、事務的な手続きを含むサポート料が加算されるケースもあります。

    費用を抑えるポイント

    1. 自筆証書遺言+法務局保管制度
      最もコストを抑えられる方式。検認不要になる点でもメリットが大きい。ただし、内容に不備があるまま保管すると無効リスクは残る。
    2. 公正証書遺言でも遺産総額を整理しておく
      公証人手数料は「対象財産ごとの評価額」で計算されるため、過剰に高い評価がつかないよう整理しておくと良いでしょう。
    3. 専門家との打合せ回数を効率化
      必要書類や財産目録などを事前に用意しておくことで、相談時間を短縮し、費用を抑えやすい。

    弁護士に相談するメリット

    1. トラブルリスク回避によるコスト削減
      一見、弁護士費用が高く感じられるかもしれませんが、後に相続人同士で大きな争いが起きて裁判沙汰になるより、事前に整えておくほうが結果的に費用対効果が大きいといえます。
    2. ワンストップでの手続き対応
      公正証書遺言を作る際に必要な書類集め、公証人とのやり取り、証人の手配などを一括で任せられます。依頼者の時間的負担を大きく減らせるのもメリットです。
    3. 複雑な財産や遺留分対策も含めた総合的アドバイス
      遺産が不動産や事業用財産、株式などにわたる場合、専門家の知見が有益です。弁護士が中心となり、税理士や司法書士と連携することで、問題点を広くカバーできます。

    まとめ

    遺言書作成の費用は、形式(自筆 or 公正証書)と、弁護士・専門家に依頼するか否かで大きく変動します。

    • 自筆証書遺言
      文房具代程度+法務局保管を利用するなら3900円/通。弁護士報酬はオプション。
    • 公正証書遺言
      公証人手数料(数万円~十数万円が目安)+証人謝礼+必要書類取得費等。弁護士報酬も検討。

    費用面だけでなく、将来的なトラブルリスクや財産の複雑さを踏まえて、どの方法がベストかを決定することが重要です。「自分は公正証書を選ぶべきか」「コストを最小限に抑えて自筆証書にするか」などお悩みの際は、お気軽に弁護士法人長瀬総合法律事務所へご相談ください。依頼者の状況を詳しく伺い、最適な作成方法と費用の目安をご提案いたします。


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    遺言書の費用とメリット・デメリットについて、動画で詳しく解説しています。公正証書遺言と自筆証書遺言の比較など、より具体的な情報を分かりやすく説明していますので、ぜひあわせてご視聴ください。


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