相続手続きに関する重要な期限と専門家に依頼するメリット

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相続手続きに関するよくある質問とその対応

Q: 相続手続きにはどんな期限があるのでしょうか?また、手続きをスムーズに進めるためのポイントを教えてください。

A:相続手続きには、期限が設けられているものと、期限がないものがあります。期限がある手続きを見逃すと、相続人に不利益をもたらす可能性があるため、各手続きの期限を正確に把握し、迅速に対応することが重要です。

ここでは、主な相続手続きの種類とそれぞれの期限について解説します。また、相続手続きを進める際に専門家に依頼するメリットについても触れていきます。

1. 遺言書の有無の調査

遺言書の有無の調査とは?

相続手続きを開始するにあたり、まず確認すべきなのは、被相続人が遺言書を残していたかどうかです。遺言書が存在する場合、その内容に従って相続が進められるため、相続手続きの方向性が大きく変わる可能性があります。

遺言書の種類と保管場所

遺言書には、主に自筆証書遺言と公正証書遺言があります。自筆証書遺言は、被相続人が自宅や金庫などに保管している場合が多く、相続人や信頼できる人に預けていることもあります。公正証書遺言の場合は、公証役場で保管されており、遺言検索システムを利用して確認することができます。

期限は?

遺言書の有無を調査すること自体には法的な期限はありません。しかし、遺言書が見つかった場合、その後に続く手続きには期限が設けられているものがあるため、遺言書の存在を早期に確認することが求められます。

2. 遺言書の検認手続き

遺言書の検認手続きとは?

遺言書が自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、その有効性を確認するために家庭裁判所で検認手続きを行います。この手続きは、遺言書が偽造されるリスクを防ぎ、相続人全員にその内容を周知させる重要なプロセスです。

検認の方法と手続きの流れ

遺言書を発見した人は、速やかに家庭裁判所に検認の申し立てを行います。検認が完了すると、その後の相続手続きに進むことができます。遺言書の検認は、遺言書の効力を確定させるために必要なステップであり、後の相続手続きに影響を与えます。

期限は?

遺言書の検認自体には期限は設けられていません。しかし、検認を終えた後に行う相続手続きには期限がある場合が多いため、遺言書が見つかったら迅速に検認手続きを行うことが望ましいといえます。

3. 相続人調査

相続人調査とは?

相続手続きを進めるためには、まず誰が相続人であるかを確定する必要があります。これを相続人調査といい、戸籍謄本などの公的書類を用いて相続人を確定します。相続人が確定されることで、遺産分割や相続放棄などの手続きに進むことができます。

調査の方法

調査の際には、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を取り寄せ、相続人となる可能性のある人物をリストアップします。さらに、その相続人が現在でも生存しているかを確認するため、現行の戸籍も必要です。

期限は?

相続人の調査にも法的な期限はありませんが、調査を早期に行うことで、相続手続きの流れをスムーズに進めることができます。特に、相続放棄や遺留分侵害額請求など、相続人が関与する手続きには期限があるため、迅速な対応が求められます。

4. 相続財産の調査

相続財産の調査とは?

相続財産の調査は、被相続人が残した財産を確定する作業です。これには、不動産、預貯金、株式、負債などが含まれます。相続財産を正確に把握することで、相続分の計算や相続税の申告に備えることができます。

財産調査の重要性

財産調査は、相続人全員が納得のいく形で遺産分割を行うために必要です。特に、負債が多い場合や財産の評価が困難な場合は、専門家の協力を得ることで、より正確な調査を行うことが可能です。

期限は?

相続財産の調査にも法的な期限はありませんが、財産の内容によっては、その後の相続手続きに影響を与えるため、できるだけ早く調査を行うことが推奨されます。特に、負債の存在が確認された場合には、相続放棄などの手続きを検討する必要があります。

5. 相続放棄

相続放棄とは?

相続放棄は、相続による負債の承継を避けるために、相続人が家庭裁判所に対して相続を放棄する旨を申述する手続きです。この手続きが認められると、相続人は最初から相続人でなかったことになります。

手続きの流れと注意点

相続放棄を行うためには、家庭裁判所に申述書を提出し、その理由を説明します。特に、被相続人が多額の負債を残している場合や、相続による利益が見込めない場合に相続放棄が検討されます。

期限は?

相続放棄には、相続開始を知った日から3か月以内という厳格な期限があります。この期限を過ぎると、相続放棄をすることができなくなります。例外的に、家庭裁判所が期限延長を認めることもありますが、基本的には3か月以内に手続きを完了する必要があります。

6. 準確定申告

準確定申告とは?

準確定申告は、被相続人が個人事業主などであった場合に、その年の所得税の確定申告を相続人が代わりに行う手続きです。この申告が必要な場合、相続人は被相続人の所得を確定し、納税を行わなければなりません。

申告の方法と必要書類

準確定申告では、被相続人の死亡日までの所得を基に所得税を計算し、納税します。申告には、被相続人の所得証明や経費の記録が必要となるため、早めに準備を進めることが重要です。

期限は?

準確定申告の期限は、相続開始を知った日の翌日から4か月以内です。この期限を過ぎると、延滞税や加算税が課されるリスクがあります。遺産分割が未了の場合でも、期限内に申告と納税を行う必要があります。

7. 遺産分割

遺産分割とは?

遺産分割は、相続人全員が遺産をどのように分配するかを協議する手続きです。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や審判によって決定されます。

協議の方法と注意点

遺産分割の協議では、遺産の範囲や評価を確認し、相続人全員の合意を得ることが必要です。遺言書が存在する場合、その内容に基づいて分割が行われますが、相続人全員が合意すれば、遺言書と異なる分割も可能です。

期限は?

遺産分割自体には期限は設けられていません。しかし、遺産分割が完了しないと他の相続手続きを進めることができないため、早期に協議を進めることが望ましいといえます。また、相続税の申告期限に間に合わない場合、未分割のまま申告を行うこともありますが、その後の修正申告が必要になることもあります。

8. 遺留分侵害額請求

遺留分侵害額請求とは?

遺留分侵害額請求は、遺言によって遺留分が侵害された相続人が、その侵害を受けた分を取り戻すための請求です。遺留分とは、法律で定められた最低限の相続分のことを指します。

請求の流れと対応

遺留分侵害額請求を行う場合、相続人は侵害された遺留分の額を計算し、その金額を請求します。この請求は、遺言の内容にかかわらず行うことができ、相続人が最低限の財産を確保するための重要な手段です。

期限は?

遺留分侵害額請求には、相続の開始と遺留分侵害を知った日から1年以内という期限があります。また、相続開始から10年が経過すると請求権が消滅します。この期限を過ぎると、遺留分を取り戻すことができなくなるため、迅速な対応が必要です。

9. 相続税の申告

相続税の申告とは?

相続税は、相続により得た財産が基礎控除額を超える場合に課されます。基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の人数」とされており、この額を超える場合に相続税の申告が必要です。

申告の流れと注意点

相続税の申告には、遺産の評価を行い、相続人ごとの取得財産を確定する必要があります。相続税の計算は複雑であり、税理士など専門家の助言を受けることが推奨されます。

期限は?

相続税の申告と納付の期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。この期限を過ぎると延滞税や無申告加算税が発生する可能性があるため、注意が必要です。また、遺産分割が未了の場合でも、期限内に申告と納税を行う必要があります。

10. その他(名義変更など)

名義変更とは?

遺産分割協議や遺言書の内容に基づいて、不動産や預貯金の名義を変更する手続きです。不動産の所有権移転登記や預貯金の解約・払戻しなどが含まれます。

名義変更の流れ

名義変更には、必要書類を整えた上で、所定の手続きを行います。不動産の名義変更は法務局で行い、預貯金の手続きは各金融機関で行います。

期限は?

不動産の名義変更には法的な期限はありませんが、早めに手続きを行うことが望ましいです。預貯金の解約や払戻しに関しては、金融機関によって対応が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。

相続手続きは専門家にお任せください

相続手続きには、多くの法的な手続きとそれに伴う期限が存在します。これらの手続きを正確に、かつ迅速に行うことが求められますが、相続に不慣れな方にとっては非常に煩雑です。そこで、専門家に依頼することで、手続きの全体をトータルにサポートしてもらうことができます。

専門家に依頼するメリット

  1. 法的手続きのサポート: 弁護士や税理士など、専門家は相続手続きに精通しており、複雑な手続きをスムーズに進めることができます。
  2. リスクの回避: 相続手続きの期限を守らないと、延滞税や加算税、さらには遺留分の請求権が失われるリスクがあります。専門家に依頼することで、これらのリスクを最小限に抑えることができます。
  3. 精神的な負担の軽減: 相続手続きは、精神的にも大きな負担となることが多いです。専門家のサポートを受けることで、その負担を軽減し、安心して手続きを進めることができます。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、相続問題に精通した弁護士や税理士が連携して、お客様の相続手続きをトータルにサポートいたします。初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。


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