はじめに
Q:自宅不動産を取得したいのですが、他の相続人へ多額の代償金を支払うことが難しいです。どうしたら良いでしょうか?
A:不動産を相続する際には、その価値が相続財産全体に対して大きな割合を占めることがあり、他の相続人に対して代償金を支払う必要が出てくる場合があります。しかし、代償金の支払いが困難なケースでは、いくつかの対策を検討することが可能です。例えば、不動産の適正な評価を再確認したり、「配偶者居住権」を活用して財産全体のバランスを調整する方法があります。このような方法について、以下で解説していきます。
Q&A
Q:不動産を相続する場合、どのような注意点がありますか?
A:不動産の評価額が適正かどうかを確認することが大切です。固定資産評価額を基準とすることが一般的ですが、実際の売買価格がこれを下回ることもあります。特に地方の物件の場合、需要が低く売却が困難であるケースも考えられます。そのため、地元の不動産業者に査定を依頼し、適正な評価額を見極めることが重要です。
Q:代償金の支払いが難しい場合、どのような方法で対処できますか?
A:配偶者居住権を活用することを検討してみてください。例えば、お母様が引き続き実家に住み続ける場合、不動産の所有権をすべてお母様が相続すると、他の相続財産が不足し、現金や預貯金を十分に確保できなくなります。このような場合に配偶者居住権を設定することで、不動産の所有権を他の相続人に移しつつ、お母様が住み続けることができるため、相続財産全体の調整がしやすくなります。
解説
不動産を相続する際、特に自宅不動産を取得したい場合、代償金の支払いが大きな負担になることがあります。この負担を軽減する方法として、以下の点を検討してみましょう。
1.不動産の評価額を適正に見直す
不動産の評価額を基に相続分を計算することは一般的ですが、固定資産評価額や実勢価格が実態に即しているとは限りません。特に地方の不動産では、実際の取引価格が固定資産評価額を下回ることがよくあります。そのため、地元の不動産業者に査定を依頼し、より実情に即した価格での評価を行うことが重要です。これにより、相続人間の公平な分割が実現しやすくなります。
2.配偶者居住権の活用
2020年の民法改正により導入された「配偶者居住権」は、配偶者が相続開始時に居住していた建物に、無償で住み続けることを保障する権利です。例えば、被相続人(亡くなられた方)の配偶者が自宅に住み続けたい場合、この権利を設定することが可能です。配偶者居住権は所有権よりも低い評価額で算定されるため、相続財産全体に占める割合を下げ、他の相続人へ分配する預貯金や現金を確保しやすくなります。
3.不動産の分割や共有による調整
不動産を共有名義で相続することで、代償金の支払いを回避することも可能です。しかし、この方法にはデメリットもあり、後々の売却や管理が複雑になることがあります。相続後のトラブルを防ぐためには、将来の見通しも踏まえて慎重に判断することが求められます。
弁護士に相談するメリット
弁護士に相談することで、相続財産の適正な評価や代償金の支払い方法について専門的なアドバイスを受けることができます。また、相続人間での話し合いが難航する場合にも、弁護士が介入することで冷静かつ公正な解決を図ることができます。
具体的には、以下の点で弁護士のサポートを受けることが有効です。
相続財産の評価と分割案の提示
弁護士は法律知識と実務経験を基に、不動産の評価額を含めた相続財産の分割案を作成し、他の相続人との交渉を円滑に進めることができます。
遺産分割協議のサポート
相続人全員の合意を得て遺産分割協議を成立させるには、感情的な対立を避け、論理的な議論を進めることが必要です。弁護士は第三者の立場から、法的根拠をもとに協議をサポートし、最善の解決策を導き出します。
配偶者居住権の設定や活用の提案
配偶者居住権は所有権と比べて法律的な取り扱いが複雑です。弁護士に相談することで、具体的な手続や条件について理解し、適切に権利を設定することができます。
まとめ
自宅不動産の取得に伴う代償金の支払いが困難な場合でも、適切な評価額の見直しや配偶者居住権の活用といった方法により、相続財産全体のバランスをとることができます。また、相続人間のトラブルを防ぎ、円滑な相続手続を進めるためには、弁護士に相談しながら進めることをお勧めします。
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