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自筆証書遺言作成のサポートと遺留分対策で、祭祀承継の不安を解消

2024-09-20
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相談前の状況

相談者は高齢の女性、Aさん。彼には複数の相続人となる子どもたちがいるものの、子どもたちとは疎遠な関係が続いていました。Aさんは、死後の自身の祭祀(お墓の管理や供養)を孫が引き継ぐことを望んでいたものの、他の相続人たちがこの役割を担うことに反対するのではないかと心配していました。また、Aさんは、相続財産の分割についても懸念を抱いていました。

特にAさんが気にしていたのは、相続人間で遺留分(相続人が法的に補償されている最低限の財産分与)の問題が発生することです。もし遺言を作成しないまま亡くなった場合、遺産分割の際に相続人たちの間でトラブルが生じる可能性があると考えていました。こうした相続争いを避けるためにも、遺言を作成し、具体的な遺産分割の方法を明確にしておきたいと考えましたが、どのように進めるべきかが分からず、弁護士に相談することにしました。

相談後の対応

Aさんの相談を受け、当事務所の弁護士はまず、Aさんが望んでいる「祭祀承継者」の明確化と、相続人間の争いを避けるための具体的な遺言作成のサポートを行いました。Aさんが希望する通り、孫が祭祀承継者となることを自筆証書遺言に明記しました。祭祀承継者は法的な相続権とは別に、死後の供養やお墓の管理を担う重要な役割であり、これを明確にすることでAさんの不安を解消することができました。

次に、相続財産の分割案についても話し合いを進めました。Aさんは、孫が祭祀承継者であることを考慮し、彼に多くの不動産を遺贈したいと考えていましたが、他の子どもたちが遺留分を主張することで争いが起こる可能性を懸念していました。そこで弁護士は、遺留分に配慮した遺産分割案を提案しました。この案では、遺留分を侵害しない範囲で財産を配分し、他の相続人に対しても一定の財産を分配する内容となっていました。これにより、遺留分による紛争を予防しつつ、Aさんの希望に沿った形で遺産分割を行うことが可能となりました。

さらに、Aさんの遺言には特定の条項を設けることで、相続人間の無用な争いを避けるための対策も盛り込みました。具体的には、万が一遺留分の請求があった場合でも、話し合いによる解決を図ることを推奨する条項や、仲裁人を指定する条項を追加しました。これにより、将来の相続争いを未然に防ぐための法的な手続きが整備されました。

最終的に、Aさんの自筆証書遺言は法的に有効な形で完成しました。Aさんは、自身の希望が具体的な形で遺言に反映されたことで、安心感を得ることができました。また、祭祀承継や相続争いについての不安も軽減されました。

担当弁護士からのコメント 

今回のケースでは、相談者であるAさんが抱いていた「死後の祭祀承継」と「相続人間での遺留分争い」という二つの懸念に対して、遺言の作成を通じて適切な対応を行いました。祭祀承継者の指定は、相続において見落とされがちですが、非常に重要なポイントです。特に、相続人間の関係が疎遠な場合や、特定の相続人に祭祀を託したい場合は、遺言書で明確にしておくことが重要です。

また、遺留分に関しても、あらかじめ相続人全員に一定の財産を配分することで、紛争を未然に防ぐことができます。遺言を作成する際には、相談者の希望に基づきつつ、法律の範囲内で最も適切な分割方法を提案することが弁護士の役割です。今回のように、しっかりとした遺言書を作成することで、相続に関する不安や争いを大幅に減らすことが可能です。

遺言書の作成は、早めに取り組むことが重要です。相続に関する不安を抱えている方は、一度ご相談いただくことで、将来のトラブルを未然に防ぐための適切なアドバイスが得られるかと思います。


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遺言書に規定されていない財産を巡る相続争いを解決

2024-08-29
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依頼者被相続人の妻
相手方被相続人の子
争点相手方に対する遺贈の合意の成否、依頼者の特別受益の有無、使途不明金の扱い
結果相手方に対する遺贈の合意の不成立 相手方の特別受益の主張を否定する

相談前の状況

依頼者であるAさん(被相続人の妻)は、生前夫と二人暮らしをしていました。

被相続人は生前、Aさんに遺産を残したいという強い意志を持っており、遺言書を作成しました。しかし、その遺言書では特定の財産に関してのみ処分が規定されており、その他の財産(株式や不動産など)については明確にされていませんでした。

被相続人の死後、Aさんと被相続人の子であるBさんとの間で、その他の財産の扱いを巡る対立が発生しました。Bさんは「生前に父と遺贈に関する合意があった」と主張し、さらに「Aさんが生前に特別な利益を受けていたため、その分を考慮するべきだ」とも主張しました。

また、被相続人の生前の使途不明金の扱いについても議論が生じました。

相談後の対応

当事務所は依頼者Aさんの状況を詳しくヒアリングし、以下の点について重点的に調査・対応しました。

相手方に対する遺贈の合意の成否

被相続人の子であるBさんは、父親と生前に遺贈に関する合意があったと主張しましたが、その具体的な証拠が存在しませんでした。

私たちは、被相続人の生前の意思や行動に基づき、その合意が存在しなかったことを確認し、法的に否定しました。

依頼者の特別受益の有無

Bさんは、Aさんが生前に特別な利益を受けていたと主張しましたが、具体的な証拠がありませんでした。

Aさんの生活費や医療費、その他の支出について詳細に調査し、特別受益に該当しないことを明確にしました。

使途不明金の扱い

被相続人の生前に発生した使途不明金についても詳細に調査を行いました。

使途不明金の金額や使途を明確にし、相続財産に含めるか否かを判断しました。結果として、その多くは被相続人の生活費等に使われていたことを立証することができました。

結果

相手方に対する遺贈の合意の不成立:被相続人とBさんの間に遺贈に関する合意が存在しないことを確認し、法的に主張を否定しました。

依頼者の特別受益の主張を否定:Aさんが生前に特別な利益を受けていないことを証明し、Bさんの主張を退けました。

安心して遺産分割協議を進めることが可能に:これにより、Aさんは安心して遺産分割協議を進めることができるようになりました。

担当弁護士からのコメント

今回のケースでは、遺言書に明確な規定がなかったために相続争いが発生しました。遺産分割の際には、遺言書の内容が非常に重要であり、できるだけ具体的に財産の処分を記載することが大切です。また、特別受益や使途不明金などの問題が発生することもありますので、生前に家族と十分な話し合いを行い、必要であれば専門家に相談することをお勧めします。

当事務所では、こうした相続に関する問題についても迅速かつ適切に対応しておりますので、お困りの際はぜひご相談ください。特に今回のような複雑な相続争いでも、依頼者の立場を守り、最良の解決策を提供できるよう尽力いたします。


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【解決事例】亡父の遺言を踏まえた数次相続の解決事例

2024-08-01
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相談前の状況

依頼者であるAさんは、亡父の遺言により包括受遺者として指名されていました。亡父が遺した遺言には、Aさんに全財産を遺贈する旨が記載されていましたが、相続人はAさんを含めて合計4名であり、他の相続人との間で感情的な対立が激しく、Aさん自身での交渉は困難を極めました。

その後、亡母が亡くなり、二次相続が発生しましたが、亡母の遺言書は存在せず、法定相続分に基づく相続が必要となりました。Aさんは一度に二つの相続問題に直面することとなり、さらに状況は複雑化しました。

相談後の対応

Aさんは、感情的な対立が激化する中、当事務所に相談を持ちかけました。担当弁護士は、まず亡父および亡母の財産調査を行い、その正確な評価を実施しました。これにより、遺産の全体像を明確にし、相続人全員に対して透明性のある説明を行うことが可能となりました。

次に、弁護士は各相続人との個別面談を重ね、それぞれの意見や要望を丁寧に聞き取りました。特に感情的対立の激しい場面では、中立的な第三者としての立場から冷静に状況を整理し、各相続人の感情に配慮しながら話し合いを進めました。

最終的には、Aさんが遺言による包括受遺者であることを踏まえ、他の相続人に対して法的な説明とともに、相続分配に関する具体的な提案を提示しました。各相続人との協議の結果、全員が納得する形での相続分配が決定しました。これにより、協議による早期解決が実現しました。

担当弁護士からのコメント

相続問題は、法的な側面だけでなく、感情的な側面も大きく影響します。特に数次相続の場合、複雑な相続関係や財産分配に関する争いが生じやすく、感情的な対立が激化することが多々あります。

今回のケースでは、依頼者のAさんが感情的な対立に直面しつつも、冷静に対応しようと努めていたことが最終的な解決に繋がりました。当事務所では、依頼者の意向を尊重しつつ、相続人全員が納得できるような解決策を模索し、最終的には約1700万円の遺産を取得することができました。

今後も、相続に関するご相談があれば、お気軽に当事務所にご連絡ください。感情的な対立がある場合でも、法的に適切かつ円満な解決を目指し、全力でサポートいたします。


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【動画】遺言書による遺産分割の7つのポイント

2024-01-16
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長瀬総合法律事務所の公式YouTubeチャンネル「リーガルメディアTV」にて、下記の動画を公開いたしました。

公開された動画

https://youtu.be/lv9lI04CHpE

動画詳細

今回の動画では、遺言書による遺産分割の流れについて詳しく解説していきます。
遺言書が見つかった場合の検認や効力の確認方法、遺言執行者の選び方、遺留分権利者の確認方法などをポイントごとにまとめて、遺言書が見つかった場合に、まず何をやるべきか、遺言書による遺産分割の全体像が掴めるように説明しています。

チャプター

視聴時間:約12分

  • 00:00:今回の動画は……
  • 00:54:遺言書の有無による遺産分割の流れ
  • 02:55:遺言書が見つかった場合の流れ
  • 03:54:遺言書の有無の確認方法
  • 05:20:遺言書の検認
  • 06:35:遺言書の効力の確認
  • 08:34:遺言執行者の選任
  • 09:45:遺留分権利者の確認
  • 10:58:おわりに

お問い合わせはこちらから

当事務所では、現在のホームページのフォームからのお問い合わせのほか、お電話やLINE友だち登録、オンラインでの面談予約など、様々なご予約方法をご用意しております。お好みの方法で、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。

遺言執行の書式・見本等

2023-07-24

遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言の内容の実現に必要な行為を行うため、遺言により指定され、又は家庭裁判所により選任された者をいいます。

遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生じます(民法985条1項)。もっとも、遺言に記載された事項には、遺言の効力が発生することによって、特段の行為・手続を要することなく当然にその内容が実現される性質のものと、遺言の内容を実現するために必要な行為あるいは手続をなすことによって初めて遺言の内容が実現される性質のものとがあります。この遺言の内容を実現するために必要な行為をなすことを、「遺言の執行」といいます。

遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有し(民法1012条1項)、遺言執行者がその権限内において 遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生じます(民法1015条)。そして、遺言執行者には、善管注意義務(民法644条)など、民法の委任に関する規定の一部が準用されます(民法1012条3項)。

遺言執行の書式・見本

ここでは遺言執行についての書式・見本をご紹介します。

なお、書式・見本の使用は、遺言執行問題に直面されている当事者個人の方及び弁護士のみとさせていただきます。

他士業その他の事業者の方に対しては、弁護士法違反(非弁活動)のおそれがあるため、無断使用を一切認めておりませんので、ご了承ください。

遺言執行者任務開始のご通知(相続人に対するもの)

遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければなりません(民法1007条2項) 。この規定は、平成30年の相続法改正によって新たに追加されたもので、改正法施行日である令和元年7月1日以降に開始された相続についてはもとより、施行日前に開始された相続に関し、施行日以後に遺言執行者となる者にも適用されます(改正法附則8条1項)。

通知すべき事項として法定されているのは、「遺言の内容」であり、遺言書の写し等の交付は要件とされていませんが、相続人に対して適切に情報を提供し、円滑に遺言執行業務を進めるためには、公正証書遺言であれば正本又は謄本の写し、法務局に保管されている自筆証書遺言であれば遺言書情報証明書の写し、それ以外の遺言であれば検認済の証明書が編綴された遺言書原本の写しを通知に添付して「遺言の内容」を示すべきでしょう。

また、遺言執行者による通知は、通常、遺言執行者から相続人等関係者に対して行われる最初の連絡であり、遺言書の検認が先行しない場合などでは、通知を受領する者は、被相続人死亡の事実すら知らない場合もあります。相続人は相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができなくなりますので(民法1013条)、遺言執行者の権限とその職務の概要を説明し、相続人の理解と協力を求めることも必要です。

PDF 遺言執行者任務開始のご通知(相続人に対するもの)の記載例 [ サイズ:82KB ]

任務終了の通知書兼報告書

遺言執行者の任務が終了した場合、民法655条の規定が準用され(民法1020条)、遺言執行者は、その任務の終了事由を通知することが必要であり、通知するまでは遺言執行者はその任務の終了を対抗できません。

遺言執行者の任務終了は当然に相続人らの知るところとならないため、相続人や受遣者らの不測の損害を生じさせないためにも、速やかに通知が必要となります。通知の方式についての定めはありませんが、後日の紛争を防ぐため書面によることが適切といえます。

また、遺言執行者は、任務が終了した後、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければなりません(民法1012条3項・645条)。この顛末報告の方式・内容についても特段の定めはありませんが、後日の紛争を防ぐため書面によることが適切といえます。

PDF 任務終了の通知書兼報告書の記載例 [ サイズ:109KB ]

【動画】遺産分割調停の3つのポイント

2023-05-16

長瀬総合法律事務所の公式YouTubeチャンネル「リーガルメディアTV」にて、下記の動画を公開いたしました。

動画詳細

今回は、相続問題のうち遺産分割調停において注意すべきポイントを3つ解説します。まず、遺産分割調停の手続き全体像について説明し、次に、遺産分割調停が話し合いの場であることを理解していただき、最後に、調停員との関係性についてお話しします。相続問題に悩む方には、ぜひご覧いただきたい内容です。

チャプター

  • 視聴時間:約15分
  • 00:00:はじめに
  • 00:11:遺産分割調停で注意すべき3つのポイント
  • 00:47:遺産分割調停の手続を理解する
  • 01:40:遺産分割における手続の全体像
  • 03:25:遺産分割調停の手続
  • 04:56:遺産分割協議の流れ
  • 05:50:調停の流れ
  • 07:27:遺産分割で裁判を行う場合
  • 09:47:遺産分割調停は「話し合い」
  • 11:30:調停委員との関係性
  • 13:13:まとめ
  • 14:19:おわりに

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