遺産分割調停を経て希望する不動産を取得した姉妹間の争いを解決した事例

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相談前の状況 

依頼者である姉のAさんは、母親(被相続人)が亡くなった後、遺産分割において妹Bさんとの間で意見の相違が生じ、解決を求めて当事務所に相談に来られました。母親は生前に遺言書を残していたものの、その内容は抽象的で、具体的な財産の分け方や相続割合については何も明記されていませんでした。そのため、遺言書が法的にどの程度効力を持つのか、またその解釈についても姉妹間で大きな意見の食い違いがありました。

特に問題となっていたのは、母親が所有していた不動産の処理です。Aさんは母親の生前、母親の生活を経済的に支えるために多額の費用を支出しており、また自宅不動産で母親の介護を行ってきた経緯もあったことから、その不動産を取得することを強く希望していました。しかし、一方の姉Bさんも母親の遺産に対して自分なりの権利主張を行い、不動産に対して譲歩する姿勢は見られませんでした。Bさんは、母親が遺言書を作成した際、自分が相談を受ける立場であったことから、遺言書の解釈についても自身の解釈を主張し、Aさんとの間で遺産分割の話し合いが難航する状況に陥っていました。

Aさんは、母親の介護や生活費の負担、さらには自分自身の経済状況からも、何としても母親名義の自宅不動産を取得したいと考えていましたが、姉との交渉では平行線を辿るばかりで、当事務所に相談に訪れました。

相談後の対応 

当事務所は、まず遺言書の法的効力についての検討を行いました。遺言書の内容は抽象的であり、相続人間で解釈の余地が大きかったため、遺言書を基に調停を進める際には慎重な対応が必要とされました。その一方で、Aさんが母親の生前において多額の経済的負担をし、介護を含む日常的な世話を行ってきた事実を証拠として提出することが重要であると判断しました。

そこで、Aさんがこれまでに母親に対して支払ってきた生活費や医療費、さらには介護のために費やした時間や労力に関する具体的な資料や証拠を収集しました。これらの資料をもとに、Aさんが単なる相続人としてではなく、被相続人の生活を直接支えた立場にあることを丁寧に主張し、遺産分割において適切に考慮されるべきであることを調停委員に説明しました。

また、遺言書の解釈についても、被相続人が具体的にどのような意図を持っていたのか、Aさんと被相続人との関係性や、遺言書作成時の状況を考慮しながら論じました。Aさんが母親と強い信頼関係を築き、特に母親の晩年において多くの負担をしてきたことから、遺言書の抽象的な表現にもかかわらず、Aさんに有利な形での解釈が妥当であるとの主張を行いました。

調停の過程では、相手方であるBさんも自分なりの主張を続けましたが、Aさん側の立証や調停委員による助言の結果、最終的にはAさんが希望していた母親名義の不動産を取得することで合意が成立しました。また、その他の財産については、AさんとBさんが公平に分配される形で調整が行われ、調停をもって円満に解決しました。

担当弁護士からのコメント 

本件では、遺言書が抽象的であるがゆえに、相続人間でその解釈を巡って意見の対立が生じた典型的な事例でした。遺言書の内容が明確でない場合でも、遺産分割の場においては、相続人それぞれの貢献度や被相続人との関係性をしっかりと主張し、適切な調整を図ることが重要です。

特に、今回のAさんのように、被相続人に対して経済的な負担や介護を行ってきた場合、その事実を具体的な証拠として調停の場で示すことで、依頼者に有利な形で調停を成立させることが可能になります。遺産分割調停では、法的な側面だけでなく、依頼者の実情や被相続人との関係性を総合的に考慮した主張が重要です。

また、遺言書が曖昧である場合でも、法的な解釈の余地をしっかりと分析し、依頼者に有利な形で解釈を進めることで、最終的に依頼者の希望を実現することができる可能性があります。本件では、Aさんが母親の遺産の中でも特に希望していた不動産を取得するという結果を得ることができ、依頼者にとって満足のいく結果となったと思います。


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