遺言書で全財産を子に遺贈されたにもかかわらず、夫が遺留分として約1500万円を回収した事例

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相談前の状況 

依頼者は6男性で、亡くなった妻の遺産についての相談に当事務所を訪れました。依頼者の妻(被相続人)は闘病生活の末に亡くなり、相続が発生しました。しかし、妻が遺言書を残しており、その内容が問題を引き起こしました。

その遺言書には、被相続人が夫(依頼者)を一切考慮せず、全財産を子に遺贈する旨が明記されていました。

しかし、遺言書が法的に有効なものである場合、被相続人の意思が優先されることが多いため、依頼者は自身に相続する権利があるのか不安に感じ、遺留分についての法律相談を希望しました。

さらに、妻が遺言書を作成していた事実も生前には知らされておらず、その内容も突然知ったため、精神的なショックも大きく、何をどうすべきかがわからない状態で相談に至りました。子との直接の話し合いが難しいと感じていた依頼者は、法律的なアドバイスとサポートを必要としていました。

相談後の対応 

当事務所では、まず依頼者から詳細な話を聞き取り、遺言書の内容を確認しました。そして、遺言書が法的に有効であったとしても、配偶者である依頼者には遺留分という法的な権利があることを説明しました。遺留分とは、相続人が最低限確保できるべき財産の取り分であり、たとえ遺言書により全財産が他の相続人に遺贈される場合であっても、遺留分の請求を行うことができる制度です。

今回のケースでは、被相続人の全財産が約6000万円であることがわかりました。法定相続分に基づき、依頼者である夫にはそのうち1/4が遺留分として認められるため、約1500万円が依頼者の取り分となる計算でした。

次に、遺留分を侵害している状態にある子に対して、遺留分侵害額請求を行うための準備を進めました。この手続きでは、まず子に対して請求の意思を伝える必要がありました。しかし、子と依頼者の関係があまり良好ではないことや、子側がすでに遺言書に基づく財産を自分のものと考えていたため、感情的な対立を避けるためにも慎重な対応が求められました。

当事務所では、まず相手方に対して、感情的な衝突を避けつつ、法的な根拠をもとに冷静に交渉を行いました。依頼者の希望としては、できる限り早期に、法的な争いになる前に解決したいという意向がありました。このため、裁判による解決ではなく、交渉による和解を目指しました。

交渉の際には、被相続人の財産内容や依頼者の遺留分を丁寧に算定し、その金額をもとに具体的な交渉を行いました。また、遺留分の請求が感情的な争いにならないよう、子にもできる限り配慮しつつ進めました。子としても、母親の遺言書の内容が全て正しいと信じていたため、当初は遺留分請求に対して消極的でしたが、当方の説明により徐々に理解を示すようになりました。

最終的には、裁判に進むことなく、交渉によって解決することができました。結果として、依頼者である夫は遺留分として約1500万円を受け取ることに成功しました。依頼者は、早期の解決を望んでいたため、この結果に満足しており、子との関係も大きな対立を避けつつ解決できたことに安心されていました。

担当弁護士からのコメント 

今回の事例は、遺言書が存在する場合であっても、法的に認められている遺留分を適切に主張することで、依頼者の権利が守られた典型的なケースです。特に、被相続人が全財産を他の相続人に遺贈する遺言書を残していたため、依頼者は初め、大変なショックを受けておられました。しかし、遺留分という法律による権利があることを知り、最終的に自身の取り分を回収できたことは、依頼者にとって大きな安心材料となりました。

遺留分の請求は、感情的な問題が絡むことが多く、特に家族間での争いが深刻化する可能性があります。今回のケースでは、依頼者が息子との関係を大切にしたいという意向も強く、法的手段に訴えることなく、交渉によって円満に解決できた点が非常に重要でした。裁判を避けることで、家族間の関係が大きく損なわれることなく、早期に解決できたことは、依頼者にとって価値のある結果だったと思います。

また、遺言書がある場合でも、遺留分の権利を持つ相続人は必ずしもその内容に従う必要はありません。遺留分侵害額請求を行うことで、自分の正当な権利を主張することができます。今回の依頼者のように、遺言書の内容に不満がある場合は、まずは法的に自分の権利を確認し、必要に応じて適切な対処を行うことが大切です。

今後、相続に関してはますます複雑化することが予想されるため、専門的な法律知識を持つ弁護士にお早めに相談することもご検討ください。


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